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シャープがスマートホームサービスを発表 消費増税“後”に照準

» 2019年05月20日 20時30分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 シャープは5月20日、スマートホームサービス「COCORO HOME」を発表した。クラウドにつながるIoT家電同士が連携し、複数機器の一括操作など新しい使い方を提案する。秋にはセコムやKDDI、関西電力などと協力し、食材の宅配や家事代行など各種生活サービスを追加するとしている。

 シャープは2017年から「COCORO+」ブランドで各種IoT家電とネットワークサービスを展開し、現在では10カテゴリー272機種が対応。スマートフォンアプリの累計ダウンロード数は50万に及ぶ。

 COCORO HOMEはそれを一歩進め、機器同士が互いに連携して新しい使い方を生み出す。例えば洗濯機が作業を終えるとスマートフォンアプリの「COCORO HOME」(iOS、Android)に通知が届く。汚れの多い洗濯が続くと「温水極め洗いコース」をリマインドする。

 秋以降には機器の利用データから利用者の習慣を学習し、COCORO HOME上でシーンに合った複数機器の一括操作を提案するようになる。例えば毎朝出かける前にテレビやエアコンをオフにしていると、アプリ上で電源一括オフの登録を促し、その後は1クリックで一連の作業を実行できる。

 クラウドを含むプラットフォームは他社にも開放し、サービスによっては利用者の同意を得た上で家電が取得した“生活データ”を受け渡す。「シャープ製の家電はもちろん、他社の住設機器などとの連携を進め、つながる機器を拡充していく」(シャープ専務執行役員スマートホームグループ長兼IoT HE事業本部長の長谷川祥典氏)

COCORO HOMEアプリ。サービスリストの他、時系列で通知や情報を集める「タイムライン」画面などがあり、将来的には近隣のスーパーマーケットが配信した特売情報や宅配業者の配達記録なども表示できる

 秋以降はセコムやKDDI、関西電力などパートナー企業が提供するサービスと連携し、例えば離れて暮らす家族の見守り、食材などの宅配、家事代行などを家電やCOCORO HOMEアプリから利用できるようにする。具体的なサービス内容は後日改めて発表する予定だ。

セコムとKDDIは昨年8月にNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」を受託した際、共同参画したパートナーで、異なる機器から取得したライフデータの受け渡し手法やセキュリティ、プライバシーの保護方法などを共同で検討した

 COCORO HOMEが「秋」の大幅拡充を計画しているのは、10月に始まる経済産業省「生活空間におけるサイバー/フィジカル融合促進事業」の補助金に照準を合わせたため。同事業は、対象となるIoT機器や連携するサービスを契約すると補助金がもらえる、いわば“IoT版エコポイント”だ。現在は補助金の対象となる機器やサービスの申請受付が終了した段階で、補助金の額など詳細は未定だが、消費税増税後の景気刺激策という側面もある。

 長谷川氏は、補助金について「デバイスとサービスを組み合わせて利用することにインセンティブを出す政策。スマートホーム普及に向けた最初のステップとなるIoT家電の販売拡大に寄与する」と期待を寄せた。

左からシャープIoTクラウド事業部イノベーション開発部の六車智子課長、長谷川祥典専務、IoTクラウド事業部長の白石奈緒樹氏

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