新年度が始まって1カ月がたった。この4月に新しい職場、新しい部署、新しい環境で生活を始めた人も多いだろう。
特に新社会人は早速「満員電車」の洗礼に遭ったのではないだろうか。朝の特定時間帯における通勤電車は常軌を逸した乗車率となりがちで、4月はTwitterで「満員電車」がトレンド入りする日もあった。
熟練の社会人たちは、長年の経験から混雑した電車内において、瞬時に人の流れを察知し、うまく乗降者のラインコントロールを行い、不用意に人とぶつかることを避けることができるだろう。
しかし、満員電車に慣れていない人たちが多いとポジショニングが難しかったり、動き出しのタイミングをつかめなかったりするため、乗客同士の衝突が生じ、“お客さま同士のトラブル”による電車遅延が発生することになりかねない。
そこで、本記事ではデータサイエンティストである筆者が、仮想空間における3D物理シミュレーションを駆使して混雑時の人の流れを再現し、電車内の“総衝突回数”(電車内の乗客全員の衝突回数の総数)や“降車完了時間”が短くなるような、乗客の理想の動き方を分析する。
本記事のシミュレーション結果を参考に、少しでも快適な通学・通勤をする人が増えることを望む。なお、ここでは混雑緩和のための施策は言及しない。その点は筆者ではなく、しかるべき立場の方々が真剣に議論・対策を検討しているはずである。
世の中は解き明かされていない謎にあふれている? データサイエンティストの筆者が、日常生活で気になるさまざまなテーマに着目し、独自の視点で分析・考察していく。
(編集:ITmedia村上)
博報堂DYメディアパートナーズのデータサイエンティスト。さまざまな業界において、ビッグデータ分析に基づくコミュニケーション施策提案、商品開発などに携わる。その他、観光、スポーツに関するデータビジュアライズに従事。
「博報堂DYメディアパートナーズでは、メディアが日常のさまざまなシーンに拡がる社会を想定し、生活者行動を各種センサデータなどによって計測していきます。また、近年の個人データ保護の観点を鑑みて、仮想空間における物理シミュレーションを併用して、現実世界では取得しづらいデータを生成し、店舗やイベントの導線設計などに活用していきます」
都心に向かう電車を想定する。車両は4ドア(1車両当たり8つのドア)で、座席数は両端の3人掛け優先席、ドアとドアの間にある7人掛け席の計54席とする。
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