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「セキュリティの基礎は無料で学べる」 ワンクリックで”リテラシー”高める無料教本ITりてらしぃのすゝめ(1/3 ページ)

» 2019年05月27日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]

 ほとんどの人にとっては、ITセキュリティは難しいもので、勉強するのは面倒に感じるかもしれません。将来的に素晴らしい技術が登場して、私たちが何も気にしなくてもAIや機械がサイバー空間を守ってくれるようになる未来は必ずやってくると信じているものの、現状は私たち自身がサイバーセキュリティについて学んでいく必要があります。

 いきなりセキュリティの達人になることはできなくても、「あ、これ聞いたことがあるな」と気付けるだけで、多くの脅威から身を守ることができます。

 ならば、その「聞いたことがある」という状況にまでステップアップしてしまいましょう。これまでなら本屋に行って何か教本を買ってくるか、ネット上で調べるのが定番でした。いまやその第一歩が、無料の電子書籍で済んでしまうのですから良い時代になったといえます。そこで今回は「この無料セキュリティ本を手に入れよ!」をキーワードに、お勧めしたい無料テキストを紹介したいと思います。

連載:ITりてらしぃのすゝめ

「身近な話題を例にITリテラシーを高めていこう」がコンセプト。さらっと読めて人に話せる、すぐに身につく。分かりやすさ重視で解説。小ネタも扱います。

(編集:ITmedia村上)

黄色の本で基本を学ぶ「インターネットの安全・安心ハンドブック」(内閣サイバーセキュリティセンター)

 まずは内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)による「インターネットの安全・安心ハンドブック」です。黄色い表紙の本で、2019年3月に第四版を重ねた由緒ある一冊です。

 カバーする範囲は“ITセキュリティ全般”で、サイバー攻撃が仕掛けられる理由をはじめ、狙われるID/パスワードをどう管理するか、スマートフォンやPCを守るためにわれわれは何ができるか、とても丁寧に解説されています。

教本 最新版では、パスワードに関しても新しい考え方にアップデートされている(「インターネットの安全・安心ハンドブック」より抜粋)

 内閣サイバーセキュリティセンターが作っているだけあって、それを多くの人に届けようという意思が見てとれます。このハンドブックは、公式サイトでのPDF、各種電子書籍、iOSAndroid向け電子書籍アプリの全てを無料で配布しています。

 企業や組織、学校で利用する際には、ページ単位、イラスト単位の利用が可能なだけでなく、改変しない限りかなり自由に活用できる点も素晴らしいです。

 この通称「黄本」の姉妹本として、企業・組織向けの「小さな中小企業とNPO向け情報セキュリティハンドブック」、通称青本も公開されています。こちらもまさに“神レベル”。もしオフィスでセキュリティに関して問い合わせを受ける「一人情シス」的な仕事をやっている方は、こちらもぜひ一読を。

こどもと一緒に読む「サイバーセキュリティのひみつ」

 上記黄本、青本はかなりの分量があるので、さすがにちょっと……というあなたには、こちらの本をお勧めします。情報処理推進機構(IPA)が作り出した、懐かし(?)のスタイルの無料テキスト「サイバーセキュリティのひみつ」です。あの学研が発行しています。

教本 漫画で分かりやすくセキュリティを学べる(サイバーセキュリティのひみつより抜粋)

 このテキストはもともと、小学4〜6年生向けに作られた、漫画でサイバーセキュリティを学ぶ教本です。本書を製作するに当たって名だたるセキュリティ関連会社が携わっており、子どもたちが最初に学ぶ本として大変よくできています。

 内容は最初に紹介した黄本とさほど変わりませんが、それを小学生でも分かるように、しっかりとかみ砕いているのが特徴です。基本がしっかり押さえられているので、大人向けとしても十分です。親子で一緒に読むという形でも活用できますので、家庭内コミュニケーションのツールとしてもぜひどうぞ。

 個人的には第六章「サイバーセキュリティは、大事な仕事」で、いま日本国内でセキュリティ人材育成のために開催されている「セキュリティキャンプ」や、NISC、IPA、情報通信研究機構(NICT)など関連する国内各組織に関して触れている点が素晴らしいと思います(Flashプレイヤーでしか見られないのは残念ですが)。IPAが冊子版を全国の小学校の図書室や公立図書館に配布しています。

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