NTT(持ち株会社)は5月30日、座ったままの状態であたかも歩いたような感覚を作り出す技術を開発したと発表した。足の裏に振動刺激を与えることにより、歩いていないのに歩いたかのような感覚が生み出せるという。今後、4D映画館やVRアミューズメント施設などのVR空間で、歩行体験を高めるための技術としての応用を検討する。
歩行時に実際に生じた振動を歩行音として記録し、増幅処理などを行った上で、ボイスコイルモーター(振動子)を使って座っている人の足裏に振動刺激を再現すると、歩いているような感覚が生じさせられることが分かったという。
人間は、身体に近づいてくるような音を聞いているとき、身体に触れているものへの反応時間が短くなり、歩行中にはこの反応時間がさらに減少することが報告されている。この反応時間の減少は、パーソナルスペース(身体近傍空間)が拡大している、と解釈されている。
今回の技術を使い、歩行感覚を再現する振動刺激を足裏に加えながら、胸に別の刺激を与え、胸の刺激への反応時間を測る実験を行ったところ、足裏への刺激がある時は、胸の刺激への反応時間が減少することが判明。歩行感の再現により、パーソナルスペースの拡大も再現されたとみている。
今後は、歩く動作だけでなく、走る、スキップするなど多様な歩行感覚の表現を目指すとともに、体験者の足踏みなどと連携して歩行感覚を生み出すための方法論の確立を目指すとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR