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SEからデータサイエンティストに転身 「考え方が全く違う」NEC社員が味わった苦労(1/2 ページ)

» 2019年06月07日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]

 AI(人工知能)人材の不足を受け、社内の研修プログラムなどを通じて転身を図るケースも増えてきた。しかし、機械学習や統計の知識がほとんどない状態でビッグデータの解析やAIアルゴリズムの作成などができるのか。5月28日に開催されたAI技術の専門イベント「NEC the WISE Summit 2019」で、SEから「AI人材」に転身したNEC社員が当時の苦労を赤裸々に語った。

 NECが定義する「AI人材」は、業務内容によって(1)コーディネータ、(2)コンサルタント、(3)エキスパート、(4)アーキテクト、の4つに分類される。コーディネータはAIプロジェクト全体を統括するプロジェクトマネジャーのような役割を担い、コンサルタントはAI導入の目的を決める上流工程を担当する。エキスパートはAIモデルの作成や検証を行うデータサイエンティストのような立ち位置で、アーキテクトはAIの実装を担当するAIエンジニアだ。

AI NECのAI人材タイプ

「SE時代の癖が抜けずに苦労しました」

 現在エキスパートとしてデータ分析業務を担う保坂真奈美さん(ソリューションイノベータ クラウド・アナリティクス事業推進本部)は、かつてソフトウェア開発に従事していた。NECでは「ビッグデータ」がトレンドになった2014年にデータを分析できる人材の育成に取り掛かり、15年に分析専門組織を立ち上げて実践的な研修を始めた。

AI エキスパートとしてデータ分析業務を担う保坂真奈美さん(ソリューションイノベータ クラウド・アナリティクス事業推進本部)

 保坂さんは「ある日突然、上司から『これからはビッグデータの時代だ』と言われました。自ら希望してビッグデータ解析の研究チームに入りましたが、統計や機械学習の知識がなかったので苦労しました」と当時を振り返る。

 16〜17年にはAIプロジェクトに関する顧客企業からの相談が増えたという。保坂さんが戸惑ったのは、システム開発とAI開発の進め方があまりに違う点だ。システム開発は最初に定義した要件に沿って進める「ウォーターフォール型」が基本だが、AI開発の場合は作成したAIモデルが出力した結果を見ながら、モデルのパラメータやデータの取得方法などを見直す必要がある。

 「(システム開発とAI開発は)進め方が全く違うので、考え方を切り替える必要があります。私はSE時代の癖がなかなか抜けず苦労しました。モデルの精度がどれだけ上がったかなど、数字にこだわりすぎてしまったことも反省点ですね」(保坂さん)

 また、開発がいつ終了するかの見通しを立てないといけないこともストレスだったという。保坂さんは「システム開発は工数と期間がきっちりと決まっていますが、データ分析はそういうものではありません。それを理解してもらうのが大変でした」と話す。

 きっちり計画通りに進めることを求められるシステム開発と、試行錯誤が必要なAI開発では、「マインドセットから変える必要がある」(保坂さん)ようだ。

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