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» 2019年06月20日 09時54分 公開

otsuneの「燃える前に水をかぶれ」:ネット炎上の秘孔を突かないために (1/2)

ネットウォッチャー、おおつねまさふみ氏が、「正義感の強い人たち」を反応させてしまう炎上の構造について解説します。

[おおつねまさふみ,ITmedia]

 炎上対策会社「MiTERU」を立ち上げたネットウォッチャー、おおつねまさふみ氏によるリスクマネジメント連載。炎上と正義の関係について語った前回に続き、「正義感の強い人たち」が強く反応してしまうツボ、秘孔の存在と仕組みについて。


 人は、ときおりむやみにイラッとするものだ。とりわけ「正義感の強い人」は、自分がいらついたことを黙っていられず、SNSで何がしかの発言をしたくなる。前回取り上げたように、それが火ダネとなって「ネット炎上」を引き起こすという事案が多く観測できる。

 彼ら・彼女らの神経を逆なでする投稿の内容は、もちろん千差万別だ。とはいえ、数多くのケースを子細に読み解いていくと、ある種の「ツボ」「秘孔」「地雷」のようなものが存在することに気づく。先に指摘した「集団内ヒエラルキー」「帰属意識」「内集団バイアス」に関わるような内容がそれだ。

 こうした、人びとの心のなかの、ある種の領域に触れる投稿を見つけたとき、正義感の強い人は、ことさら激しく反応してしまっている。どういうことなのか、もう少し詳しく見ていくことにしよう。

photo ピンク・フロイド「炎」

1 集団内ヒエラルキー

 人は多かれ少なかれ、集団のなかでの自分の階級(=集団内ヒエラルキー)を意識しながら生きている。年齢や年収、学歴など、社会的な序列を否応なく気にしてしまうものだ。職業に貴賤はないと言いながらも、やはり個人個人それぞれの価値観のなかで、上下のランクを付けて捉えてしまっていることが少なくない。

 このヒエラルキーのなかで、自分の地位が上がることはうれしい。が、そのために積極的に行動しようとする人は必ずしも多くない。半面、自分の地位が下がることには、きわめて敏感だ。

 このため、特定の人のズルが許せない。集団内の地位を不当に得ている人・得ようとする人を見逃すことができない。同様に、ひいきや特別扱いについても「不公平だ」と感じ、糾弾する対象になる。

 一方、自分より上位の人が何かをやらかして、地位が下がることは大歓迎だ。「他人の不幸は蜜の味」、俗にいう「メシウマ」である。ヒエラルキー上位の人が少しでも下位に降りると相対的に自分の地位が上がるので、率直にうれしいと感じてしまうというわけなのだ。

2 帰属意識

 「帰属意識」とは、いうまでもなく、何らかの集団に属していたいという人間の心理のことである。集団に帰属するだけではなく、その集団に貢献することによって安心感を得ているのだ。このため、集団の評判やメンツにこだわり、できるだけ価値を上げるようにしようという気持ちが働く。

 前述のヒエラルキーと同様、自分が属している集団の地位が下がることには非常に敏感なのだ。自分が属している集団ーー例えば「日本」が世界から称賛されていたとすると、積極的に喜びを表現するだろう。逆に日本が批判されているような報道に対しては「事実と違う!」と感じ、怒りに駆られたりすることになる。

3 内集団バイアス

 帰属意識が働くことによって人は、自分の所属している集団を、他の集団より高く評価する傾向がある。そして、自分の集団以外の集団は実際以上にたいしたことがない・レベルが低いと捉えている。身びいきによって、判断に「バイアス」がかかるのだ。

 例えば、自分の友人や親族の発言は、少々失礼だったり不謹慎だったとしても大目に見る。だが、それ以外の知らない人の軽口は、ささいなことでも「許せない!」と感じてしまう。

 同じ言動であっても、自分の属する集団の人の場合と他の集団の人との場合、その反応は真逆になることがある。それが自分の集団に対する的を射た指摘だったとしても、他集団からの発言であるがゆえにムカついてしまう。それが軽率な態度だった場合は尚更だ。

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