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» 2019年06月24日 20時36分 公開

中小企業の「資金繰り悪化」をAIで予測、“危ない”場合は融資のオファー クラウド会計のfreeeが開始

freeeの子会社freee finance labが、新サービス「資金繰り改善ナビ」を開始。AIを活用して顧客企業の資金残高(向こう3カ月分)を予測し、資金繰り悪化が見込まれる場合に融資を提案する仕組み。金融事業者と連携し、融資可能な金額を事前に提示する他、融資の申し込みなどをクラウド上で完結させる点が特徴だ。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 クラウド会計サービスを手掛けるfreeeの子会社freee finance labは6月24日、AIを活用して顧客企業の資金残高(向こう3カ月分)を予測し、資金繰り悪化が見込まれる場合には融資を提案するサービス「資金繰り改善ナビ」の提供を始めた。SaaS型会計ソフト「freee」を利用中の個人事業主・中小企業が導入できる。金融事業者と連携し、融資可能な金額を事前に提示する他、融資の申し込みなどをクラウド上で完結させる点が特徴。

photo サービスの概要を説明する、freee finance labの武地健太代表取締役

 freee finance labの武地健太代表取締役は「毎月の入出金予測をまとめた『資金繰り表』の作成や、融資の審査手続きにかかる手間を解消できる」と強調する。

 「全ての人が、正確な資金繰り表を作れるわけではない。失注した時などに、突如として資金繰りの厳しさに気付く場合もある。その際に対処法が分からず、借りられない恐怖と闘いながら、膨大な書類を作って金融機関に出向く人もいる。新サービスによって『資金繰りを予測できない』『改善の仕方が分からない』『資金を調達できない』といった課題を解決し、スピード感ある事業展開を支援したい」(武地代表取締役)

 freeeのユーザー企業は無料で利用可能。freee finance labは提携する金融事業者と金利収入などを分配する。

freeeのデータから残高予測を2パターン算出

 会計ソフトのfreeeは、請求書の発行、債権・債務の管理、経費精算などに対応している。分析するデータとアルゴリズムの詳細は非公開だが、新サービスでは顧客企業の利用状況を基に、事業が好調/低調に推移した場合の残高予測を計2パターン算出。グラフ化して提供する。実際の資金残高が両パターンの範囲内に収まる確率は「80%以内」(同)という。

photo freeeのデータから残高予測を2パターン算出する

 分析結果を踏まえ、資金繰り悪化が予測される企業のうち、融資を受けられる可能性が高い企業にオファーを提示。借入可能額や金利などの条件も同時に示すため、「融資の可否や借りられる金額が分からない」といった不安を軽減する。

 武地代表取締役は、具体的な金融商品として、250万円〜300万円のビジネスローン(利率は年間15%前後)などを紹介した。

 試算した条件にユーザー企業が同意した場合は、提携する金融事業者(三井住友カード、ライフカード)に分析結果を共有し、審査を行う。すでに経営状況を分析済みのため、落ちる確率は比較的低く、数分程度で終了するという。

photo 「資金繰り改善ナビ」の仕組み

 審査や契約の際は、クラウド上に必要情報を入力し、書類などをアップロードするだけで完了。非対面のまま融資を受けられる。

 武地代表取締役は「審査に落ちてしまい、その履歴が残り続けるリスクを低減できる他、申し込む前に与信額が分かるため、スモールビジネスの経営者はより経営に対して積極的になれるだろう」と語った。

売掛債権をオンラインで現金化するサービスも視野

 この他、freee上に請求書などの売掛債権を登録している場合、オンラインで現金化して資金調達できるサービス「請求書ファイナンス」の提供を7月中にも開始する予定。提携する金融機関も拡大し、多様な支援を提供できる体制を整える計画だ。

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