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» 2019年06月25日 09時30分 公開

IBMのクラウド戦略は第2章へ 真のハイブリッド、マルチクラウドに注力(2/3 ページ)

[谷川耕一,ITmedia]

IBM Cloudには先行するベアメタルがあり、太い拠点間ネットワークを無償で利用できる点も優位性

 自社のパブリッククラウドであるIBM Cloudの強味となるのが、買収したSoftLayer時代から先行していたベアメタル型インフラの提供だ。ベアメタルなインフラにより、基幹系システムが求める性能を他のユーザーから影響を受けずに確保できる。こういった高性能なインフラは、エンタープライズ用途だけでなくインターネットゲーム用プラットフォームのニーズにも応える。

 またベアメタルは、VMware環境を動かすのにも向く。いち早くVMware Cloudを提供し、VMwareの仮想サーバーで動くシステムのクラウドへのリフトに注力したこともIBM Cloudの強味となっている。その上で「北米ではエンタープライズ環境で利用されているAIXやiシリーズなどの環境を提供するクラウドサービスも提供し、さらにはZ(メインフレーム)のシステムもクラウドで利用できるようにしています」とグラマ氏。これらIBM Cloud独自のサービスは、他の地域でも順次展開される予定だ。

 ミッションクリティカルなシステムが求める可用性のために、IBM Cloudではマルチ・アベイラビリティゾーンの構成をとっている。日本の東京リージョンでも豊洲、大宮、川崎という3つのデータセンターが既に稼働している。多くのクラウドベンダーでは、具体的なデータセンターの場所を明らかにしない。対してIBMは異なる立場をとっており「場所を明らかにしています。規制の厳しい企業などでは、どこのデータセンターで動いているかを重要視するからです」と日本IBM 取締役専務執行役員 IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏。これも既存のミッションクリティカルなシステムをクラウドで動かすことを目指しているからこその対応だ。

photo 日本IBMの三澤事業本部長

 IBM Cloudは複数のアベイラビリティゾーン構成では後発なこともあり、拠点間ネットワークはかなり他ベンダーよりも太いものを用意できた。その結果、アベイラビリティゾーン間を「2ミリ秒以下の遅延で接続できます」と三澤氏。拠点間のネットワーク遅延をできるだけ小さくすることは、例えばVMwareで高可用性構成をとる際などに必要となる。その上で大阪リージョンも準備している。これにより日本国内だけで遠隔地の災害対策構成がとれるようになる。IBM Cloudでは国内はもちろんグローバルの拠点間でも、ネットワークを無償で使える。これも、他のパブリッククラウドに対する大きな優位性となる。

 IBMではさらに、AI、機械学習などの新しい技術もマルチクラウドで使えるようにする。そのために構築したAIのモデルをさまざまな環境に、容易に展開できるようにもしている。さらに機械学習などで必要となるデータのためには、ソースがどこにあっても容易に整備した形で統合化し利用できるようにするWatson Knowledge Catalogも提供する。WatsonのAI技術は既に、IBM Cloudだけで利用できるものではなく、ハイブリッドクラウド、マルチクラウドで利用できるものになっているのだ。

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