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» 2019年06月28日 13時10分 公開

「朝から晩までLINEで過ごして」──LINEが示した“ワオ”戦略

発表を通して、LINEが一貫して主張したキーワードは「Life on LINE」。ユーザーの日々の生活の中に、LINEが適切なサービスを包括的に提供していくという姿勢を示した。

[井上輝一,ITmedia]

 LINEが6月27日に開催した自社イベント「LINE CONFERENCE 2019」では、ユーザーの信用度を数値化する「LINE Score」、グループトークを拡張した「OpenChat」、音声操作の「LINEカーナビ」などのサービスが発表された。発表を通して、LINEが一貫して主張したキーワードは「Life on LINE」。ユーザーの生活シーンごとに合わせたサービスを、LINEが包括的に提供していくという姿勢を示した。

「Life on LINE」を提唱する慎ジュンホ代表取締役CWO

日々の生活、全てLINEで

 LINEは、これまでもメッセージや通話サービスを始めとして、ニュースプラットフォームの「LINE NEWS」やモバイル決済サービスの「LINE Pay」など、LINEアプリ内で多角的にサービスを展開してきた。

 同社は、日々の生活で活用できるサービスをさらに充実させていく考えだ。「ユーザーが『ワオ』と言ってくれるような便利なサービスを提供して、朝起きてから夜寝るまでLINEを使ってもらいたい」と、慎ジュンホ代表取締役CWO(チーフ・ワオ・オフィサー:「ワオ」は驚きの意)は語る。

 CWOとは聞き慣れない言葉だが、LINEグループの「Life on LINE」(LINEで生活の全てが完結する)という構想を実現する上の価値基準が「ワオ」(WOW)で、ワオは「ユーザーが感動し、思わず友人に教えたくなるような驚き」を意味するという。慎氏は「ワオ」といえるような革新的なサービスの創出に責任を持つ立場として2019年2月に取締役CWOに就任、3月に代表取締役CWOとなった。

 そんな慎代表取締役CWOが示した、Life on LINEを支える3本柱が「オフライン」「フィンテック」「AI」だ。

企業ページもLINE内に

 「オフライン」領域では、企業や店舗が簡単にサービスページを作れるプラットフォーム「LINE Mini app」を新たに発表した。企業は専用のCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)から簡単にLINE上にサービスページを開設でき、予約フォームの設置やクーポン・ポイントカードの発行もできる。

企業や店舗が簡単にサービスページを作れるプラットフォーム「LINE Mini app」

 企業はページを作りやすく、ユーザーはサービスごとにアプリをインストールする必要なく、LINEアプリから企業サービスにアクセスできる。こうした利便性をプラットフォームとして提供することで、LINEというオンライン上から店舗というオフラインの利用を促進したい考えだ。

 LINE Mini appの提供は20年春を予定している。

スマホで銀行と同じ体験を

 「フィンテック」領域は、LINE Payやブロックチェーンを活用したトークンエコノミープラットフォームなど、既に複数のサービスで取り組んでいるが、今回の発表では「スマホで完結する銀行」というコンセプトを強調した。

LINE Payの「スマホで完結する銀行」構想

 慎代表取締役CWOは「日本の金融は、手続きの煩雑さなど不便を感じる箇所が多い」と指摘。「スマホを持っているだけで銀行に行くのと同じ体験を提供したい」(同)と構想を語る。

 “スマホ銀行”を構成するサービスの一つが、27日から提供を始めた信用スコアサービス「LINE Score」だ。LINEアプリ上で規約やプライバシーポリシーに同意し、質問に答えたり、LINE上で家計簿をつけたりすることで信用スコアが決まる。スコアに応じて少額のローンを簡単な手続きで組めたり、サービスの優先的な予約の権利が得られたりするという。

 ただ、信用スコアはプライバシーや情報利用の観点で、ユーザーから懸念が上がるサービスでもある。このような懸念について、LINEの出澤剛代表取締役社長CEOは「LINE Scoreの利用前に、規約やプライバシーポリシーに同意のチェックを入れない限りスコアは収集しない。収集しても、メッセージや通話内容は取得しない。各企業への情報提供も、企業ごとにユーザーへ必ず同意を取る」として、ユーザーが不利になるような信用スコアの利用はないことを強調した。

同意にユーザーがチェックを入れない限り、スコアは収集しないと強調した

「LINEはAIカンパニー」

 「AI」領域では、「LINEはAIカンパニーになる」(慎代表取締役CWO)として、LINEの各サービスのベースとしてAI技術が重要だという見解を示した。

 同社の音声アシスタント「Clova」は、ユーザーの生活を便利にする分かりやすいAIサービスの例だ。LINE NEWSで表示されるニュースの順番も、AIで個人個人に最適化しているという。

俺の嫁召喚装置「Gatebox」とClovaの連携も発表された

 そして、ClovaなどでLINEが培ったAI技術を、新事業「LINE BRAIN」で企業向けに販売することを発表した。各AI技術の他、AIによる自動電話応対AI「DUET」を開発し、販売を目指すとしている。

LINEのAI技術を販売する新事業「LINE BRAIN」

「Life on LINE」を裏付ける実績

 このように、今回の発表会では「オフライン」「フィンテック」「AI」の3方面から、ユーザーの日々の生活に対し便利なサービスを提供していきたいという姿勢をLINEは示した。

 LINEが今回示したのは、これからの姿勢ばかりではない。現在までの各種実績を、発表会の中でアピールした。

 現在のLINEアプリの月間利用者数は8000万で、アプリ内サービスのLINE NEWSは19年5月に月間100億PVに達したという。

LINE NEWSは19年5月に月間100億PVに達したという

 LINE Payのユーザー数は現在3600万人。最大20%ポイント還元キャンペーンの実施で、ローソンのLINE Payでの決済件数は実施前に比べ245%に増加。衣類チェーンのRight-Onでは各店の店長にアンケート調査を行ったところ、キャンペーンの効果があったと8割が答えたという。

 また、LINE Payとメルペイが始めたQRコード決済などの共通化を進めるアライアンス「Mobile Payment Alliance」に新たにNTTドコモが参画。全国にドコモショップや営業部隊を持つドコモが自社のモバイル決済サービス「d払い」の店舗開拓を進めれば、LINE Payは地方でも使いやすいモバイル決済となり得る。

 こうしたLINEが積み上げた実績と、「Life on LINE」という意気込みを聞くと、「朝から夜まで誰もが何かしらのLINEサービスを使っている」という未来はあながち非現実的ともいえないのかもしれない。

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