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» 2019年07月03日 16時00分 公開

歯を磨くと音が聞こえる子供向け歯ブラシ「Possi」 開発動機は「子供を甘やかしたい」

ソニー、京セラ、ライオンは、歯を磨いている間だけ音が聞こえる子供向け歯ブラシ「Possi」を開発し、一般販売を目指すクラウドファンディングを行うと発表した。

[谷井将人,ITmedia]

 ソニー、京セラ、ライオンは7月3日、歯を磨くと音が聞こえる子供向け歯ブラシ「Possi」(ポッシ)を発表した。同日、一般販売に向けたクラウドファンディングをスタート。製品の開発動機は「子供を甘やかしたい」という父の願いだった。

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 Possiは、音を鳴らすためにブラシが振動する子供向けの仕上げ磨き専用歯ブラシ。スマートフォンやオーディオ機器と付属のケーブルで接続すると、ブラシの振動が歯に伝わって本人だけに音が聞こえる。歯ブラシのヘッドに内蔵した京セラの圧電素子が電気信号を振動に変換して骨伝導で音を鳴らす仕組み。ブラシの振動は音を鳴らすためで、汚れを落としやすくする機能はない。

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 クラウドファンディングの目標金額は2000万円。支援プランは、Possi1台と交換ブラシ3本をリターンする「ベースプラン」が1万7500円、同内容で先着300台限定の「お買い得プラン」が1万4800円(いずれも税込)。カラーバリエーションは「ポップ」「アクア」「ピュア」を用意。本体サイズは40(幅)×46(奥行き)×153(高さ)ミリ、重さ6グラム(電池含まず)。

開発動機は「子供を甘やかしたい」

photo 京セラ、稲垣智裕さん(研究開発本部)

 製品のコンセプトは「歯磨きを単なるルーティーンから楽しい時間に変える」。アイデアを出した京セラの稲垣智裕さん(研究開発本部)は、歯にブラシが当たっている間だけ音楽が聞こえる歯ブラシであれば、子供も楽しく歯磨きができると考えたという。

 「私の子供は歯磨きが好きではなく、私が妻から『歯磨きができないならお菓子を買い与えるのは禁止しよう』と告げられていた。私は子供を甘やかしたいので、歯磨きが楽しくなるような歯ブラシを考えた」(稲垣さん)

 Possiのプロジェクトはソニーのスタートアップ支援「Sony Startup Acceleration Program」(SSAP)のもとで2018年10月にスタート。京セラが「音の出る歯ブラシを作りたい」というアイデアを持ち込んだ。京セラには歯ブラシのヘッドを作る技術がなかったため、19年2月にはヘッドの製作に強いライオンに声を掛けて製品化にこぎつけた。

 京セラは圧電素子、ソニーは本体デザインやプロモーションビデオの制作を手掛けた他、ビジネスモデルの組み立てやユーザーインタビューのノウハウをレクチャーするなど支援。ソニーの用意した専用オフィスに3社が集まり開発を進めた。

 実際に試作品を自分の子供で試したり、ユーザーインタビューを行ったりすると、子供は「歯ブラシを当てると音が聞こえる」ことが不思議で不安そうな顔をしたが、しばらくすると「何曲も聴けるように歯磨きをたくさんしたい」と言うようになり、習慣づけに成功したという。

開発時の苦労は

photo ライオン、萩森敬一さん(イノベーションラボ)

 技術の課題もあった。歯ブラシとしての性能を追求すると音の伝達が悪くなり、音の伝達を追求すると歯ブラシの性能が悪くなってしまう二律背反の状態で、いかに落としどころを見つけるかが難しかったという。

 ライオンの萩森敬一さん(イノベーションラボ)は、開発時の苦労として「異業種同士の共同開発なので、互いに常識だと思って話していることが全く通じず苦労した」と語る。プロジェクトではそれぞれ子供でも分かるような言葉で会話するよう心掛けた。

 稲垣さんは開発期間が9カ月間と短かったことが大変だったと語る。社内で取り組むような参加人数の多いプロジェクトでは、部署間の壁もあり、意思決定や情報共有に時間がかかって開発期間が延びてしまうことも多いが、Possiのプロジェクトは始めから終了時期が決まっていたため、緊張感を持って作業するようになった。

 稲垣さんは「Possiは子供の歯磨きについて私と同じような悩みを持つ親に対して幸せを届けられる製品ではないか」と自信を見せる。3社はクラウドファンディングを通して多くの人の意見を集め、一般流通も視野に入れる。

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