「AI導入は出版業界を救うか?」と題する勉強会が、7月3日に都内で開催された。主催は出版関係者とエンジニアをつなぐコミュニティ「本とITを研究する会」で、当日は出版関係者やAIエンジニアなど約50人が集まった。
漫画アプリ内での作品レコメンドなど、既に出版業界でもAIを使う試みは増えている。勉強会では、AI技術に詳しいエンジニアらがAI活用の新たな可能性について議論した。
「みんなの本棚を撮影して共有すると面白いのではないか」と提案するのは、AI開発を手掛けるシグフォス執行役員COOの三井篤さんだ。三井さんの自宅には約3000冊の本があるという。AI-OCR(光学文字認識)や画像認識技術を使って本棚のデータを解析し、「紙の書籍の購入履歴」をレコメンドなどに生かそうという考えだ。
「出版社や書店の協力があれば、自分が読んでいる作品の新刊情報を通知することもできそうです。3000冊もあると、同じ本を買ってしまうことがあるのですが、それも防げると思います」(三井さん)
ポット出版代表の沢辺均さんは少し視点を変え、「本棚のデータは、書店の在庫問題の解決につながるかもしれない」と指摘した。
電子書籍ストアと異なり、リアル店舗は本を置けるスペースが限られているので在庫が増えると返本の手間がかかる。何らかの方法で書店の本棚を撮影し、そのデータを集約しておけば、大小さまざまな店舗の在庫情報を検索できるプラットフォームを作れると考えた。
大手書店の場合は、オンラインで店頭在庫を検索できるが、それがかなわない店舗もある。本棚画像の撮影やプラットフォームの作成を誰が行い、費用をどうまかなうのかという問題もあるが、検討の余地はありそうだ。
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