ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >
ニュース
» 2019年07月23日 16時43分 公開

社長交代が迫るアスクル、社外取締役らがヤフーの「ガバナンス無視」を徹底批判 対立泥沼に (1/2)

アスクルの社外取締役・社外監査役からなる「独立役員会」が7月23日に記者会見を開催。同社が親会社のヤフーと対立している件についての見解を発表し、ヤフーが上場企業に求められるガバナンスを無視していると批判した。具体的には、指名・報酬委員会や派遣取締役を通さず岩田社長個人に辞任を迫った点などを問題視しているという。

[濱口翔太郎,ITmedia]

 アスクルの社外取締役・社外監査役からなる「独立役員会」が7月23日に記者会見を開き、同社が親会社のヤフーと対立している件についての見解を発表した。ヤフーはこれまで、共同運営するECサイト「LOHACO」の譲渡を求めた他(現在は獲得の意思を否定)、8月2日の株主総会で岩田彰一郎社長の再任に反対票を投じると発表している。同会はこれに対し、「LOHACOの譲渡を選択肢に入れるならば、立て直し策の効果を検証してから議論すべき」「株主総会直前にトップの交代を求められても、現場は混乱し、かえって企業価値は下がる」などと指摘。ヤフーの手法は、上場企業に求められるガバナンスを無視していると批判した。

「ガバナンス無視」を批判

 独立役員会は、元松下電器産業(現パナソニック)副社長でアスクル独立社外取締役の戸田一雄氏や、ファーストリテイリングの社外監査役なども兼任するアスクル独立社外監査役の安本隆晴氏ら6人が所属。取締役会の依頼に応じて、客観的な立場から助言を行っている。

photo アスクルの独立役員会と、アドバイザーを務める弁護士が会見を開き、ヤフーの姿勢を批判した

 同会は、ヤフーが(1)指名・報酬委員会や派遣取締役を通さず岩田社長個人に辞任を迫った点、(2)株主総会が1カ月後に迫ったタイミングで「トップを辞任させ、後任を好きに決めるように」と強引な要求をしてきた点、(3)LOHACO事業の譲渡について、利益相反取引に求められる透明性を確保せず、対等な立場で交渉しようとしなかった点――などを問題視している。

 独立役員会の戸田氏は、会見で「ヤフーは『岩田社長が辞任を申し出ないなら、続投には反対する』と言っている。これは、普通の(上場企業の)マネジメントしては考えられない。アスクルは社外取締役を入れるなど、ガバナンスに対して一生懸命に取り組んできた。この流れを、いとも簡単に変えようとしている」と指摘。

 「株主総会まで約1週間しかないが、ヤフーは時間切れを待っているようだ。約1週間後には、アスクルの経営体制が変わってしまうかもしれない。こうも簡単に(現体制は)終わってしまうのか」と危機感をあらわにし、「株主総会では、指名・報酬委員会が決定した取締役候補者(岩田社長を含む)を選任し、必要であれば、来年度に向けた指名・報酬委員会で、ヤフーの意見を踏まえながら(社長人事を)十分に議論すべきだ」と提言した。

弁護士は「支配株主としてのマナー不足」を指摘

 会見には、同会のアドバイザーを務める松山遙弁護士も登壇。「支配株主は、自分の一声で子会社のガバナンスを変えられる力を持ち、思うままに議決権を行使することができる。社長の続投に反対票を投じるのは株主の権利だ。ただ、そういう力を持っている以上は、守るべきルールやマナーもある。指名・報酬委員会を通さず、1カ月前になって『トップには辞めてもらう。次のトップは好きに選んでほしい』と述べるのは、いかがなものか」と指摘した。

 同じく久保利英明弁護士は、「日本市場では親会社・子会社の二重上場が認められているが、この状況で子会社は合理的なガバナンスを保てるのか。親会社が過半数の株式を持っているだけで、子会社の生殺与奪の権利を持つことは正しいのか。『過半数を持っているから何でもしていい』という考え方は適切ではなく、乱用的な買収者として見ることもできる。こうした親子上場の是非を(社会に)突き付けているのがヤフー対アスクルの事件だ」と一連の騒動を評した。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.