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日本オラクル、クラウド導入の専門集団「DX推進室」結成 企業・自治体のデジタル化を支援

» 2019年07月29日 21時07分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 日本オラクルは7月29日、同社のクラウドサービスを活用し、社会課題の解決や新規事業創出などを支援する部門「Digital Transformation推進室」(DX推進室)を6月に立ち上げたと発表した。新規事業担当者やデータアナリストなど約10人が所属し、必要に応じて他部門と連携しながら、企業や自治体のデジタル化を支援していくという。

 同社のフランク・オーバーマイヤー社長肝いりのプロジェクトで、同氏が2017年7月に就任後、約2年間かけて立ち上げの準備を進めてきたという。同社は19年5月に東京都内にデータセンターも開設しており、設備・組織ともにクラウドサービスの普及を加速する体制が整った。

photo 日本オラクル DX推進室の七尾健太郎室長

一緒にプロジェクトを進めるチームでありたい

 日本オラクルは、分析基盤「Oracle Analytics Cloud」、ブロックチェーン管理ツール「Oracle Blockchain Platform Cloud」、機械学習によってデータ管理のプロセスを自動化した自律型データベース「Oracle Autonomous Database」など、IaaS・PaaS・SaaSを問わず多様なクラウドサービスを展開している。

 DX推進室は、これらを顧客のニーズに応じて選定・導入する他、クラウドを駆使した新規事業の立案など踏み込んだ支援も手掛けていく。

 対応する技術はIoT、AI、機械学習、ブロックチェーン、AR、VRなどで、対応する分野はスマートホーム、スマートシティー、コネクテッド・インダストリーズ(テクノロジーを活用した産業の進歩)など多岐にわたる。複数の団体の共同事業に協力することも視野に入れている。

 DX推進室の七尾健太郎室長は「『このクラウドを使ってください』で終わるのではなく、『こういうこともできます』といった提案を強化したい。顧客とベンダーの関係にとどまらず、一緒にプロジェクトを進めるチームでありたい」と期待を語った。

デモでは「IoT×クラウド」を紹介

 日本オラクルは、29日に開いた記者会見で、DX推進室が製造業者を支援し、デジタル化に成功した場合のデモを実施。担当者がスマートフォンアプリに必要な製品の数を入力すると、データを「Oracle Digital Assistant Cloud」に集めた上で、おもちゃのクレーンに装着した「Raspberry Pi」に転送し、製造が始まる場面を披露した。クレーンの状態を「Oracle IoT Asset Monitoring」で監視し、不具合が生じた場合に自動で運転を停止する様子も示した。

 七尾室長は「スピーディーに導入できる他、あらゆる業務に対応できるのが当社のクラウドの強み。工業の場合は、トラック、車載器、工作機械など、多様な機器(から取得したデータを)クラウドの世界に取り込める。顧客からもアイデアを出してもらい、どんなことができるかを一緒に考えていきたい」と話した。

photo 「Digital Transformation推進室」の概要

他社との連携にも対応

 また同社は、Amazon Web Services、Google Cloud Platform、Microsoft Azureといった他社サービスと組み合わせたいとの要望にも対応する方針で、竹爪慎治執行役員(クラウド事業戦略統括)は「1社で全部やろうとは思っておらず、マルチクラウド環境が理想だ。その中で、顧客にとって最適な組み合わせを考えていきたい」と説明した。

 ただ竹爪執行役員は「顧客企業の中心にデータを置き、『データドリブン』(データ主導型)のビジネスを実現する技術はオラクルならではだ。そこを軸に、他社と連携すべきところは連携し、拡張すべきところは拡張していく」と強調。マルチクラウド環境を推奨しながらも、コアとなるサービスでは自社の技術を訴求する方針を示した。

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