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» 2019年08月05日 07時00分 公開

これからのAIの話をしよう(コンサル編):「機械に代替されないデータサイエンティスト」に必要な能力とは? (2/3)

[松本健太郎,ITmedia]

データサイエンティストは料理人、食材と調理場の整備を

 東野さんは「データサイエンスに対する過度な期待」で覆われた現場の最前線で、さまざまな苦労も味わってきたといいます。特に苦労した点について「まず、企業がデータを持っていません。インフラ環境がなかったり、セキュリティ上データが使えなかったりすることもありました」と振り返ります。

 クライアントは保険、製薬、エネルギー、製造業が多かったそうです。保険や製薬は業務で統計を使うのである程度データ分析をできる環境が整っていたものの、製造業はデータが整っていない状態が多く苦労したといいます。

 また、ディープラーニングに過度な期待を寄せるクライアントも多かったようです。「人間で判断できないものは、機械でも判断できません。自分たちが何をしたいかが明確になっていない企業も多かったので、こちらから提案した内容を基に話を進めるという状態でした」(同)

 そんな東野さんから見て、データ分析で成功する会社、失敗する会社の境界線はどこにあるのでしょうか。

 「失敗する会社は、データ分析をやったことがない会社です。つまり、失敗しない会社なんてないんです」と東野さん。「データ分析を料理に例えると、データサイエンティストは料理人、データは食材、インフラ環境は調理場です。今まで分析をやったことがない会社は食材も調理場も未整備で当たり前。そこにデータサイエンティストを加えて、いきなり活躍できるわけがありません」と指摘します。

ビジネスが分からないデータサイエンティスト問題

 データ分析で成功する会社に明確な共通点はないそうですが、「事業部にデータ分析チームがぶら下がっているところは、ニーズ起点で動けていることが多いかもしれません」と東野さん。「現場から離れてデータ分析の依頼を待っているような独立組織はまずダメです」と続けます。

 「(データサイエンティストは)ビジネス部門と一緒に動くべきなんです。少なくともドメイン知識がなければ、価値を出せません。ビジネス部門の知識を吸収して課題を発見し、解決案を出せるようになるまでスキルを上げるべきでしょう」(同)

 「ビジネスが分からないデータサイエンティスト問題」については、多くの企業や有識者が問題解決に向けて取り組んでいます。東野さんが実践していたことを聞きました。

 「私は、何度もビジネス部門にヒアリングしていました。自分で考えたことが合っているのか、物おじせずに確認します。最初にやるべきはデータを触ることではなく、ビジネス部門の課題をヒアリングして、何を解決できそうかを一緒に考えることです」(同)

 何度もヒアリングばかりしていたら、クライアントから「何で早く分析に取りかからないんだ」とおしかりを受けそうな気もしますが、最初に目的をしっかり共有できていたので、トラブルには発展しなかったといいます。

 東野さんは、「最初にクライアントと何が目的かを強く握っていたので、手を動かさない=仕事をしていない、と見られなかったのだと思います。データ分析をすることが目的ではないので」と話します。

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