ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

「家庭教師のトライ」が学力診断にAI活用 20問解くだけで弱点を推定 生徒と講師の負担減らす(2/2 ページ)

» 2019年08月06日 17時30分 公開
[谷井将人ITmedia]
前のページへ 1|2       

塾業界の現状は

 塾業界の現状も診断アプリ開発の背景の一つだ。現在、塾業界では少子化や2020年の大学入試改革に伴う個別指導の需要から人手不足が深刻化している。

 塾には大きく分けて進学塾と補習塾がある。進学塾では、高校や大学へ進学するための受験対策を行い、補習塾では学校の授業について行けない生徒をサポートする。

 受験競争が過激化し、予備校や進学塾が全盛期を迎えていた80年代以前には、講師1人が多数の生徒に授業をする集団指導の進学塾が全体の90%を占めていたが、80年代以降、詰め込み教育への反省から、ゆとり教育の流れが生まれた。2000年代になると、補習を主に行う個別指導に需要が集まり、現在では個別指導塾が45%を占めている。20年にセンター試験が廃止され、新しく「大学入学共通テスト」が始まる影響もあり、個別指導への需要は増加しているという。

photo

 これを受け、主に学力が高い層をターゲットとしている進学塾も個別指導サービスを展開するようになったが、補習を主にやっていた個別指導塾も受験勉強に対応するようになり、受験対応の個別指導という分野で塾同士の競争が激化した。

 一人で30人以上の生徒に授業をしていた進学塾が個別指導を行うには、講師を大きく増やす必要がある。個別指導塾も質の高い講師を多く抱えて競争に挑む必要が出てきた。

 人材が不足する中、教育現場の効率化が課題となり、AIを活用した学習支援ツールも登場してきた。現在、受験に対応したAIツールは、進学校を中心に採用されているが、学習者の学力が高めに想定されているものが多く、全ての学力層に向けたサービスはないという。対応科目も、数学や理科などの理系科目が多く、汎用(はんよう)的に使うのは難しかった。

 トライグループは教育現場の効率化という観点から、開発した診断アプリやAIの技術を、学校や教育委員会に提供することも検討している。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.