ITmedia NEWS > STUDIO >
ITmedia AI+ AI活用のいまが分かる

なぜZOZOは本気でAIに取り組むのか 「アパレルの価値はAIで上がる」の真意を聞くこれからのAIの話をしよう(ファッション編)(4/5 ページ)

» 2019年09月13日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

マスクド:ありがとうございます。

金山:ファッションを道具としてうまく使えば自分を有利にできますが、オシャレという言葉でくくられてしまっているから、着こなせないと人は「恥ずかしい」と感じます。そうではなくて、自分の良さを出したり、社会とのつながりを感じたりという観点で服を選ぶAIがあれば、「服って便利だな」と共感が広がると思うんです。

マスクド:考え方が変わりそうですね。

金山:服選びが苦手な人が意思決定を迫られるから問題になるんです。成功体験が得られなくて、余計に嫌いになってしまう。服選びに興味がなくても、その人の良さや求めているものを助けるために、アパレルはまだAIを使って価値を引き上げられますよ。

課題発見だけではダメ やり抜く力と巻き込む力

マスクド:ZOZOテクノロジーズに、元イー・エージェンシー取締役の野口竜司さんが参画されました。AIについては技術の目途を付けるだけでなく、「こういう企画であの技術が使えるよね」という目利きが大事だと思っています。

金山:すごく大事です。スタートアップの世界には「アイデアには価値がない」みたいな言い伝えがありますが、僕はアイデアこそ全てだと思っています。良いアイデアがなければ良いサービスはできません。もちろん技術ドリブンで発案することもあります。われわれはどちらかというと顧客ドリブンで、顧客の課題をいかにして解決するかのアイデアが出せる人間が必要だと思っています。AIはあくまで手段の一つに過ぎない。

 ただ、技術は完璧に分からないとしても、AIがどの問いを解けるかの境界線はある程度は分かっておいた方が良いですよね。AIはいずれ、どんな問いにも答えてくれるようになります。人間よりも問題解決能力や課題設定能力を上回るのは間違いないですが、この過渡期においてはそうじゃない。だから、その見極めはできた方が良いです。無邪気に「こんなこともできるでしょ?」と言うのもありですけど、時間の無駄になることもありますね。

 念のため補足すると、弊社には研究所があります。顧客課題の直接的な解決につながるかどうかは分からないけれども、人工知能産業において「問い」が面白いものは研究所でやります。技術ドリブンで何かが生まれることは絶対にありますから、投資をしています。ただ事業として考えると、顧客視点から始めなければいけないというだけです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.