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なぜZOZOは本気でAIに取り組むのか 「アパレルの価値はAIで上がる」の真意を聞くこれからのAIの話をしよう(ファッション編)(3/5 ページ)

» 2019年09月13日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

金山:いっぱいあります。ただ、こんなアプリをやりたいという機能ベースの話よりも、こんな顧客の課題を解決したいという観点で話していいですか?

マスクド:お願いします。

金山:まず、個人の生活に関わる意思決定はどんどん二極化していると思っています。一つは、大好きなものに関する意思決定で、僕であれば服や音楽になります。好きなものは勝手にディグる(曲などを探す)ので、コンピュータのアシストはいりません。ディグっている時間が好きなので、むしろその時間をAIに奪ってほしくないですね。家に帰ってソファに寝そべってSpotifyで曲を探している時間が仕事の次に好きで、(Spotify上で)高い精度のレコメンドも来ますけど、それもなくていいくらいです。

マスクド:自分で探すのは面白いですよね。

金山:一方で「今日のランチに何を食べるか」は意思決定したくないので機械に任せたいですし、実際そうしています。それでも満足度が高いので、何の問題もありません。つまり、興味のある分野に関してはディグらせる、興味のない分野に関しては機械に代替させ、自分よりも良い意思決定を得る──こうした二極化が起きていると思っています。

マスクド:ファッションの世界も同じことが起きているのですか?

金山:前者は、今のZOZOTOWNです。ファッション好きなら、ZOZOTOWNをずっと見ていられます。(ZOZOグループには)ファッション好きが集まっているので、そういうサービスが提供できるんです。今後の課題は、後者。服を着ていない人に会ったことはないですよね。ということは、服は着ないといけないものです。つまり服を買う、服を選ぶ、服を着るという一連の意思決定を誰もがしないといけない。でも服が好きじゃない人に、それらの意思決定をさせるのはかわいそうじゃないですか。選ぶのが苦手ならなおさらです。

マスクド:変な服を買っちゃって、似合わないって言われたら最悪ですね。

金山:この課題を解いてあげたいなと。機械が服を選んでくれて、「その服いいね」と周囲からほめられ、その服のおかげで評価されれば最高じゃないですか。服には2つの機能があると思っています。一つはプロテクション(保護)、つまり熱さや寒さに耐える機能性です。もう一つはエモーション(情緒)で、自分の気持ちや社会的な関わりの表現です。(覆面をかぶっている)マスクドさんはエモーションの使い方がすごくうまいじゃないですか。一目見ただけで「マスクドさんじゃん!」ってなりますよね。個人として際立っていると思うんですよ。

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