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なぜZOZOは本気でAIに取り組むのか 「アパレルの価値はAIで上がる」の真意を聞くこれからのAIの話をしよう(ファッション編)(1/5 ページ)

» 2019年09月13日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

 ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOが、AI事業に注力しています。同社は8月26日に、AIを使ってユーザーが閲覧している画像と似た商品を検索できる機能をZOZOTOWNに導入しました。2019年を「ZOZO AI化元年」と位置付け、運営するサービスの全面的なAI活用を目指すと宣言しています。

 ZOZOグループのAI活用におけるキーマンの1人が、ZOZOテクノロジーズ代表取締役CINO(Chief Innovation Officer)の金山裕樹さんです。金山さんはファッションコーディネートアプリ「IQON」を運営するVASILYの創業者。2017年10月にZOZOグループはVASILYを買収したという経緯があります。

 ファッションが大好きだと話す金山さんは、「ファッション領域の課題解決こそAIの力が必要」「アパレルはAIを使って価値を引き上げられる」と指摘します。なぜ今、ZOZOグループはAIに本気で取り組もうとしているのでしょうか。ファッション領域でのAI活用の可能性や、AI導入における苦労や課題、AI時代の人間の在り方など多岐にわたる話を聞きました。

 聞き手は、ITmedia NEWSでAI開発の現状を伝える連載「マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!」を持つマスクド・アナライズさん。

※:このインタビューは8月に実施されたものです。

左からマスクド・アナライズさん、ZOZOテクノロジーズ代表取締役CINO(Chief Innovation Officer)の金山裕樹さん

連載:これからのAIの話をしよう

いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。

(編集:ITmedia村上)

「言語化できない」 ファッションとAIの相性が良い理由

マスクド:ZOZOTOWNで類似のアイテムを画像検索してくれる機能がリリースされました。ダメージジーンズであれば、似たような加工が施されたジーンズが紹介されるなど、かなり良い機能だなと思います。どのような背景で開発されたのでしょうか?

金山:(新機能を開発する)全てのきっかけは「顧客の課題」だと思っています。ファッションは言葉に落としづらいので、旧来型の検索エンジンと相性が悪い。例えば今日僕が着ているシャツ。言葉でどう表現しますか?

マスクド:私は語彙(ごい)が少ないので・・・・・・「濃い緑」とか「ジャングルっぽい」とかになっちゃいます。

金山:あとは「迷彩」とか「カモフラージュ柄」とかですよね。でも、カモフラージュ柄にも種類がたくさんあります。つまり、検索したくても言葉にできないと、このシャツにたどり着けない可能性があるんです。でも、見たら分かる。この隔たりを無くしたかったんです。

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