東芝は9月11日、組み合わせ最適化問題を大規模かつ高速に解ける「シミュレーテッド分岐アルゴリズム」(SB)を、FPGAなどの専用回路に実装する設計技術を発表した。同技術でSBを実装したFPGAでは、入力から出力を返すまでにかかる時間は1ミリ秒未満だという。実用的な問題を解く実証実験を行い、今年中の成果発表を目指すとしている。
シミュレーテッド分岐アルゴリズムは、東芝が4月に発表した組み合わせ最適化問題を近似的に解くアルゴリズム。組み合わせ最適化問題を表す「イジングモデル」を、既存のアルゴリズムを実装した従来のコンピュータや組み合わせ最適化問題に特化した量子コンピュータより、高速かつ大規模に解けるとしている。
今回発表したのは、FPGAやASICなどにSBアルゴリズムを効率的に実装するためのソフトウェア言語(高位合成言語)による記述方法。これにより計算の規模や並列度、データの粒度などを回路へ設計できるという。
同技術でSBアルゴリズムを20ナノメートルプロセスルールのFPGAに実装すると、4096変数・全結合までの問題サイズを扱えるマシンができあがる。同マシンでは入力を得てから、0.2ミリ〜1ミリ秒で問題の近似解を出力できるという。
SBアルゴリズムのハードウェア実装に当たった東芝の辰村光介主任研究員は「これほど大規模な問題に対して瞬時に応答するシステムは例がない。新しい可能性を示せるのではないか」と話す。
大規模かつ高速・超低遅延で解を出せることに加え、省電力性などにも優れるとしており、金融分野の自動取引の最適化などに活用を見込む。
適用分野は明らかにしていないが、19年中に特定分野の問題に対し同マシンの実証実験を行い、成果を発表したいとしている。
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