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2020年までに全世界で16億台、「Wi-Fi 6」認証プログラム開始

» 2019年09月19日 19時27分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 無線LAN標準化団体のWi-Fi Allianceは、米Appleの「iPhone 11」や韓国Samsung Electronicsの「Galaxy S10」など最新スマートフォンがサポートした「Wi-Fi 6」の認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 6」を開始した。Wi-Fi Allianceのマーク・ハング氏(テクノロジー兼エンジニアリング担当バイスプレジデント)は、「2020年までに全世界で16億台の対応デバイスが出荷されるだろう」とWi-Fi 6の急速な拡大を予言している。

「Wi-Fi CERTIFIED 6」のロゴ

 Wi-Fi 6は、米国の標準化団体であるIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)が「802.11ax」(以下.11ax)として標準化を進めている新しい無線通信規格。これまでは規格のバージョンを問わず「Wi-Fi」と呼んでいたが、今回から第6世代であることを示す数字を組み合わせたシンプルな命名ルールに改め、一般のユーザーにも分かりやすくした。

 Wi-Fi 6は、複数の端末がOFDMでアクセスできるOFDMA(直交周波数分割多元接続)をWi-Fiとして初めて採用した上、高効率変調方式の採用(1024QAM)、Wi-Fi 4(.11n)の4倍に当たる最大160MHzの広帯域チャンネルなどで大幅な高速化を実現した。規格上の通信速度は最大9.6Gbpsに及ぶ。

「Wi-Fi CERTIFIED 6」の主な特長(出典はWi-Fi Alliance)

 また複数のアクセスポイントから複数の端末に送信するBSSカラーリングや、ネットワークの末端でも十分な帯域幅を確保するためのビームフォーミング技術などを盛り込み、多くの人が同時に通信するような場所でもつながりやすいという。センサーネットワークのようなIoT用途では、間欠通信で端末の消費電力を抑えるTWT(ターゲットウェイクタイム)の実装も大きい。

 「OFDMAは周波数の利用効率を上げ、通信時の消費電力を減らす効果もある。(従来のWi-Fiと)同じネットワークインフラを使いながら、低消費電力のIoTネットワークや高精細な4Kビデオのネットワークにも活用できるようになった。(Wi-Fi 6は)過去20年間で最も容量と性能が向上したバージョンだ」(ハング氏)

 一方、こうした技術的な特長が5Gとかぶることから、Wi-Fi 6を5Gの競合通信規格と捉える人も多い。ハング氏はそうした意見があることを認めた上で、「2つの技術は相互に補完的。例えば日本ではモバイル通信のトラフィックの8割以上がセルラー網からWi-Fiに流れている。5Gではその傾向がむしろ強まるだろう」と指摘する。

Wi-Fi Allianceのマーク・ハング氏(テクノロジー兼エンジニアリング担当バイスプレジデント)

 またモバイル用途がメインの5Gと大きく異なる点として運用コストを挙げた。「Wi-Fi 6と5Gはビジネスモデルが大きく異なる。Wi-Fiはオーナーが設置し、設備投資や運転資金は安い。セルラー網はオペレーターが作り、どちらも高額だ。例えば、工場のIoT化を進めるとき、たくさんの装置全てにSIMカードを入れるだろうか。いつも同じ場所にある装置に5Gを使う理由はない」(ハング氏)

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