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“Amazonで実験を続けた男”は好奇心の塊だった 元幹部が語る「データの価値」これからのAIの話をしよう(データリテラシー編)(3/4 ページ)

» 2019年09月27日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

国によって考え方も異なる

――ワイガンドさんは、これまでAmazonを含め、さまざまな企業のデータ戦略を担われてきました。そこで得た気付きはありますか。

 ネットサービスを作る場合は、それぞれの国でどのように考え方が違っているのかに着目すべきでしょう。私はドイツ連邦政府が設置したデジタル評議会のメンバーであり、シリコンバレーにある企業にもコンサルティングを行ってきました。米国とドイツでは考え方に大きな差があります。

 シリコンバレーにあるようなスタートアップは、全てがうまくいくと何が起きるかというベストケースを考えますが、ドイツは逆でまずはワーストケース、つまり最悪のシナリオから考えます。真実を追い求めるなら、両方考えなければいけないでしょう。

 シリコンバレーの考え方は楽観的すぎて、どのような問題が起きるかという想像力に欠けているかもしれません。しかし、こうしたマインドセットがあれば、どんどん想像するようになります。心配事をしていると、良くない点に目が向いてしまうものですから。

――どちらが良い、悪いという問題ではないということですね。日本企業についてはどうですか。

 正直なところ、あまり日本企業のことは詳しくないです。ただ、ZOZOは非常にアメイジングなプレイヤーだと思っています。ユウキ(ZOZOテクノロジーズ代表取締役の金山裕樹氏)のような人もいますし、オフィスの雰囲気も日本の伝統的な会社とは違うものです。ZOZOにはGoogleで働いていてもおかしくないすばらしい人材がいると思っていますが、日本の皆さんはどういった理由で自分が働く会社を選ぶのでしょうか。優秀な人材の引き抜きは、世界中でまさに戦争のようになっていますよね。

――給与ややりがいなどさまざまだと思いますが、説明するのが難しいですね。

 給与もそうですが、どういった人々と一緒に仕事をするのかや、柔軟性を持つ会社かどうかも考えるでしょう。「会社に貢献する」という価値観を持った従業員を採用するのは非常に重要ですが、そのためには貢献しやすい環境を作らないといけませんよね。ルールや規制によってそれを妨げるような会社になってはいけません。今、この取材の場には男性2人、女性4人が立ち会っており、女性が多いです。こうしたダイバーシティも重要でしょう。

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