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“Amazonで実験を続けた男”は好奇心の塊だった 元幹部が語る「データの価値」これからのAIの話をしよう(データリテラシー編)(1/4 ページ)

» 2019年09月27日 07時00分 公開
[松本健太郎ITmedia]

 自社が持つ膨大なデータを生かし、新たな価値創造に取り組もうとする企業が増えています。ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOもその一つ。同社はAI活用に注力しており、その一環として9月1日に、元Amazon.comチーフサイエンティストのアンドレアス・ワイガンド氏をZOZOテクノロジーズのデータサイエンスアドバイザーに据えました。

 ワイガンド氏は、Amazon.comの創業者兼CEOのジェフ・ベゾス氏と共にECプラットフォーム構築に尽力し、今日のAmazonの基礎を作り上げたとされる人物。コンサルタントとして中国Alibabaや米ゴールドマン・サックス、ルフトハンザドイツ航空など幅広い企業のデータ戦略を支援し、今は米スタンフォード大学や米カリフォルニア大学バークレイ校などで教べんをとっています。また、ドイツ連邦政府・デジタル評議会のメンバーにも選ばれるなど世界中で活動しているのです。

 ワイガンド氏の著書「Data For The People(邦題:アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える)」は、データサイエンティストには非常に学びの多い1冊だと思います。Amazon時代に会社のデータ戦略を策定し、顧客中心の文化を作り上げた過程から、データの権利や保護の問題に至るまで、丁寧にまとめられています。

 特に印象的だったのが、ワイガンド氏がAmazon時代にさまざまな実験を行っていたことです。「製品レビューは社内の人間が書いた方がいいのか、それとも消費者が書いたほうがいいのか」「顧客が同じものを2度購入しようとしたとき、アラートを発したほうがいいのか」など、いろいろな仮説を立て、実験し、評価をしていきます。

 こうした試行錯誤はデータサイエンティストにとって欠かせないものです。ワイガンド氏に、データを扱う上で気を付けるべきことや、データと意思決定の関係、意思決定の難しさ、データリテラシーなどについて聞きました。

元Amazon.comチーフサイエンティストで、ZOZOテクノロジーズのデータサイエンスアドバイザーに就任したアンドレアス・ワイガンド氏

連載:これからのAIの話をしよう

いま話題のAI(人工知能)には何ができて、私たちの生活に一体どのような影響をもたらすのか。AI研究からビジネス活用まで、さまざまな分野の専門家たちにAIを取り巻く現状を聞いていく。

(編集:ITmedia村上)

データの価値とは

――著書を読みました。ワイガンドさんがAmazonでデータ戦略を策定し、さまざまな実験をしていたのが印象的でした。

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