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日本マイクロソフト・吉田新社長が決意表明 「DXで日本を変える」「国内ナンバーワンのクラウドベンダー目指す」

» 2019年10月02日 18時11分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 日本マイクロソフトは10月2日に記者会見を開き、吉田仁志新社長が率いる新経営体制の戦略について説明した。平野拓也前社長が掲げた「企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する」との基本方針を踏襲しつつ、「Microsoft Azure」などのクラウドサービスのシェアをさらに高め、「日本でシェアナンバーワンのクラウドベンダーを目指す」(吉田社長)という。社内体制の改善もさらに進め、社員がより実力を発揮できる環境づくりに取り組むとしている。

パートナー企業での経験を評価

photo 日本マイクロソフトの吉田仁志新社長

 吉田社長は、ノベル日本法人やSAS Institute Japanなどの社長を歴任した後、2015年〜19年9月まで日本ヒューレット・パッカードの社長を務めた実績を持つ。同社長は会見で「日本では人口減少や少子高齢化などが起きているが、DXで(良くない状況を)変えたい。『世の中に貢献し、経済をよりよくする』というのが私のミッションで、日本マイクロソフトの企業理念が合致したため参加した」と、社長就任の背景を説明した。

 内部昇格ではなく外部人材を起用した理由について、米Microsoftのラルフ・ハウプター氏(アジア プレジデント)は「外部企業やパートナー企業(日本ヒューレット・パッカード)での経験を評価し、今の日本マイクロソフトにとって補完的な人物だと判断した」という。

 会見には平野前社長も登壇。吉田社長について「日本社会の変革に貢献したいというビジョンや、日本マイクロソフトに対するパッションを持っている人に後を継いでもらいたかった。吉田氏はパートナーとして以前から接点があり、インターナショナルなバックグラウンドを持ちながら、日本市場にも精通していると評価していた」と語った。

 平野前社長が8月31日付で退任後、吉田社長が後任に就くまで約1カ月の空白期間があり、後任人事は10月1日まで明かされなかったが、その理由は「9月末まで日本ヒューレット・パッカードで現役の社長をしていたので、(言わないでほしいと)日本マイクロソフトにお願いしていた」(吉田社長)という。

photo 左から、日本マイクロソフトの平野拓也前社長、吉田仁志新社長、米Microsoft アジア プレジデントのラルフ・ハウプター氏

クラウドは「DXをする上で絶好の材料」

 吉田社長は、基本方針である「DXの支援」を推進する上で、日本企業の経営陣と現場層の意識の違いが課題になると考えており、これから解決に努めていく考えだという。

 「トップがデジタル化を進めようと考えていても、現場側の意見と乖離(かいり)している場合がある。(日本マイクロソフトは)そこをクリアにしていきたい。DXの重要性が叫ばれてから、もう5年以上がたつ。ビジネスモデル、プロセス、カルチャーなどで(顧客企業に)あるべき姿を見せたい」(吉田社長)

 また吉田社長は、Azureや「Office 365」などのクラウドサービスを「DXをする上で絶好の材料で、企業の力を大きく高められる」と捉えているという。平野前社長は日本市場でクラウドサービスの売り上げを大きく伸ばしたが、吉田社長もこの流れを加速させ、Amazon Web Services(AWS)などの競合を上回るシェア獲得を目指すとしている。

 ナンバーワンを目指すための方針について、吉田社長は「まずは導入先の企業で(ビジネス改善という)成果を上げたい。豊富なソリューションをそろえている点も当社ならではの強みであり、さらに訴求したい。パートナー企業との(販売・導入における)連携もさらに強化したい」と語った。

エンジョイしながらも数字を出す

 吉田社長は、20年超にわたる経営者人生の中で「社員がいきいきと働いている会社は強い」との知見を得ているという。平野前社長も、今夏に期間限定で週休3日制を取り入れるなど「働き方改革」に注力してきたが、吉田社長も独自の色を出しながら、日本マイクロソフトの労働環境をさらに改善していく考えだ。

 同社長は「社員のやる気や底力を高めつつ、(タスクなどの)プライオリティ付けにも取り組み、最大の成果が出るようにしたい。日本マイクロソフトを次のレベルに上げたい」と強調した。

 10月1日の着任後はオフィスを回って社員と会話をしたといい、「みんな目が輝いていた。これならば日本を変えられると実感した」(吉田社長)という。

 吉田社長は「顧客企業の問題を解決して成功体験を積むと、社員の目はもっとキラキラ輝くだろう。仕事は楽しくないと長く続かないため、社員には楽しくやろうと言いたい。だが、やることは当然やる。エンジョイしながらも、数字はきっちりと出していく」と決意を語った。

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