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日本マイクロソフト、「週休3日制」の裏にある自信

» 2019年08月21日 12時46分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 日本マイクロソフトが8月に実施している「ワークライフチョイス チャレンジ 2019 夏」。1カ月間とはいえ週休3日(週勤4日)とする試みに、日本中のビジネスパーソンが注目している。社内や取引先に混乱はないのか。

 ワークライフチョイスは、社員一人一人が仕事(ワーク)と生活(ライフ)を状況に応じて選択(チョイス)できる環境を目指すというもの。その一環として、日本マイクロソフトは2019年8月の全ての金曜日(2日、9日、16日、23日、30日)を休業とし、オフィスをクローズする。

 社員は特別有給休暇を取得し、家族旅行やレジャーに行くも良し、スキルアップを目指して各種講座に参加するも良し。いずれも会社が費用を補助する、至れり尽くせりのプログラムだ。8月20日の戦略発表会で平野拓也社長は、既に3回実施した金曜休業で社員が実践したことを挙げ、「ある社員は断捨離をしたそうです」などと笑顔で語った。

 ただし、今まで週5日でこなしてきた仕事を4日間で終わらせるのはハードルが高い。チャレンジの主眼は「週休3日」ではなく「週勤4日」のほうだ。

2019年度の実績として働き方改革を挙げている

 マイクロソフトは「働き方改革」を推進する企業の一つとして、率先してIT活用やオペレーションの改善、人事制度改革に取り組んできた。社内のコミュニケーションにはグループウェアの「Microsoft Teams」を用い、長くなりがちな会議は30分を基本にするなど、さまざまな面で効率化を図ってきた。平野氏によると、社長として采配を振るった過去4年間で社員一人当たりの就業時間を年間80時間も削減したという。

月間40時間の削減というハードル

日本マイクロソフトの執行役員 政策渉外・法務本部長を務めるアリス・グラハム氏

 しかし、8月のチャレンジは年間80時間よりはるかに厳しい「月間40時間の削減」となる。普段から仕事効率化を進めているとはいえ、高いハードルに社員が戸惑うことはないのか。同社執行役員で政策渉外・法務本部長を務めるアリス・グラハム氏に社内の様子について聞いたところ、「特に混乱はない」という。

 仕事が少ないわけではない。法務を担当しているグラハム氏のチームには、弁護士など日本人社員も在籍しており、週勤4日制を始めた当初は戸惑いもあった。グラハム氏は、彼らの真面目な仕事ぶりを評価しつつも、ときにハッパをかける。「常に100%の仕事を目指さなくていい。70%でいっちゃいなさいってね」(グラハム氏)。

 会議については、社内基準の30分をさらに短縮し、1回15分に設定した。その反動か、会議の数は少し増えたという。

 今回のチャレンジでは、毎週金曜日にオフィスをクローズしているが、世間は平日だ。顧客やビジネスパートナーなど、社外からの問い合わせには対応しないのか。

 「休業日の電話などは全て私にかかってくる仕組みにしています。問い合わせの内容について休暇中のチームメンバーに確認することもありますが、もし週末のうちに返事がなくても問題にはなりません」(グラハム氏)

 法務部は、日本マイクロソフトの中でも仕事効率化をアグレッシブに進めてきた部署だ。部署単位で勤務日を設定できる柔軟性の他、大胆な効率化の手法も日本企業にはあまりないものだ。日本マイクロソフトは今回のチャレンジ終了後に成果を報告する予定だが、実は既に来年も実施すると明らかにしている。

【訂正:2019年8月21日更新 ※グラハム氏のコメントの一部に誤解があったため、削除いたしました】

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