米司法省(DoJ)は10月3日(現地時間)、米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOに対し、同氏が3月に発表した自社SNSのエンドツーエンドの暗号化強化計画を進めないよう求める公開書簡(リンク先はPDF)を、米、英、豪共同で送ったと発表した。
書簡には、米国のウィリアム・P・バー司法長官と国土安全保障長官のケビン・マクアリーナン氏、英国のプリティ・パテル内相、オーストラリアのピーター・ダットン内相が署名した。
3国の政府は書簡で、人々の安全性低下を招かないという保証と、特に子供を保護するために、法執行機関によるコンテンツへのアクセスを可能にすることなしにサービスのエンドツーエンドの暗号化計画を進めないよう要請した。
エンドツーエンドの暗号化は、サービス提供者でさえコンテンツを解読できないようにする技術だ。例え当局が令状を出しても、技術的に解読できない(=warrant-proof)。ユーザー自身以外にアクセスを可能にするには、いわゆる「バックドア」を設けることになる。
Facebook傘下のWhatsAppは既にエンドツーエンドで暗号化されている。ザッカーバーグ氏は3月、「A Privacy-Focused Vision for Social Networking(プライバシー重視のソーシャルネットワーキングビジョン)」と題する投稿で、エンドツーエンドで暗号化された新しいプライバシー重視のプラットフォームを構築していくと発表した。
ザッカーバーグ氏は、このプラットフォームの安全性確保のために、コンテンツを見られなくても悪用を検出する技術を開発していると説明した。
Facebookは3日、公開書簡を受け、「エンドツーエンドの暗号化は既に10億人以上のメッセージを守っている。(中略)われわれは、バックドアを構築しようとする政府の企てに強く反対する。バックドアを設ければ、政府は世界中の人々のプライバシーとセキュリティを損なうだろう」という声明文を発表した(全文は米Axiosの記事などに掲載されている)。
米司法省が4日に開催し、公開書簡に署名した4人が参加した「Lawful Access Summit」でバー司法長官は、Facebookに要請しているのはバックドアではなく、「正面玄関の鍵だ」と主張した。「warrant-proofが個人に提供するメリットは、同じ技術が一般にもたらすリスクを上回っているかどうかを判断するのは企業ではなく、社会だ」という。同氏は、「暗号化によるセキュリティを実質的に弱めることなく合法的なアクセスを許可する技術的なソリューションがあると確信している」と語った。
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