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人と同等の皮膚感覚、ロボットに スプレーで材料を塗布、NEDOと熊大

» 2019年10月10日 13時00分 公開
[ITmedia]

 新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)と熊本大学は10月10日、人と同じような皮膚感覚をロボットに持たせるセンサーを開発したと発表した。力や振動と電気信号を相互に変換する「圧電膜」の材料が溶けた液体を、ロボットの表面にスプレーで塗布し、皮膚センサーを作る。人と物理的に接触するロボットが、人に対して安全に振る舞えるようにする狙いがある。

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 従来は、ロボットの表面にシート状のセンサーを貼り付ける手法を検討していたが、ロボットの全身を隙間なく覆うには柔軟性や伸縮性に欠ける、という課題があった。

 今回の研究では、圧電膜の材料をスプレーで塗布し、熱処理などを施してセンサーを作製する手法を応用。長時間のスプレー噴霧技術やスプレーガンの自動駆動システムを確立し、広く均一で再現性が高い圧電膜を作ることに成功したという。

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 開発した皮膚センサーは、人の触覚で最も高精細な指先と同程度の1ミリの空間分解能を持ち、人の皮膚が知覚可能な数Hz〜1kHzまでの振動を検出できることなどを確認。人と同じような皮膚感覚を持つロボットの実現に大きく貢献するとしている。

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 NEDOなどは、モバイル機器や日用品、自動車、航空機の翼など、さまざまな形状・サイズの物体にセンサーを搭載し、圧力や振動を測定できると説明。人の皮膚表面に貼り付け、振動や生体信号を取得するウェアラブル・フレキシブルセンサーとしても活用できると期待を寄せている。

 今回の研究成果に伴い、熊本大学はスプレーで塗布して作るセンサーの事業化を推進するベンチャー「CAST」を設立した。同社は、10月15〜18日に千葉・幕張メッセで開催される「CEATEC 2019」に出展する。

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