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「休日に会社の同僚と遭遇しないための動き方」を物理シミュレーションとゲーマーの英知で解き明かすデータサイエンスな日常(2/4 ページ)

» 2019年10月15日 07時00分 公開
[篠田裕之ITmedia]

同僚と遭遇しにくい、狙い目の時間帯は?

 今回は、自宅から最寄りのコンビニに行くというシチュエーションを想定。コンビニに着くまでの経路で同僚に遭遇するリスクを時間帯ごとに算出し、最も外出に適したタイミングを導き出す。

 以下の動画が、実際のシミュレーションの様子である。シミュレーション開始時は、周辺に同僚がいるかいないか、そもそも誰が同僚かなどは分からない。私と同僚が一定の距離に近づいた時点で、同僚が赤く表示される仕組みだ。さらに近づくと、同僚の目線も赤色になる。もし私と同僚の間に一定時間、障害物や通行人などがいなければ、同僚に気付かれ「遭遇」となる。遭遇せずに目的地にたどり着くか、遭遇した時点でシミュレーションは終了する。

 このシミュレーションを、先ほど計算した休日の各時間帯における通行人数に対して20回ずつ行い、同僚との遭遇率を計測した。実際に私が外出する時間帯である正午から午後10時の間でシミュレーションした。

 さらに同僚の出現率を、下北沢の総居住人数に対する同僚のおおよその居住人数の割合に係数を掛け合わせて算出。その値を上記シミュレーションで割り出した各時間帯の遭遇率に掛け合わせ、「同僚の出現率を加味した遭遇率」とした。同僚と遭遇せずに目的を達成できた割合は「達成率」とし、同僚と遭遇せずに目的を達成できたときにかかった時間を「達成時間」と定義する。

 どうやら午後2時台に外出すると最も達成率が高い――つまり同僚との遭遇を避けられるようだ。ただし午後3時台になると達成率は一気に下がるため、もし午後2時台を逃したら、外出は午後5時台まで控えたほうがよさそうだ。

 しかし午後2時台であっても、上記の表を見ると同僚の出現率の低さによって達成率が見かけ上高く見えているだけで、実際に同僚が出現したときに遭遇してしまう確率は95%と非常に高い。

 そこで午後2時台の状況において、同僚が出現した場合でも遭遇する割合をなるべく低くし、かつ短時間で目的地までたどり着く動き方を導き出すことを目指す。先ほどの表の通り、シミュレーション環境における単純な自動モード(基本は最短でゴールを目指す。同僚含め通行人が近づくと左右に避ける)では、同僚が出現したときの達成率は5%、達成したときの平均達成時間は40.9秒だった。

 この数値をベンチマークとし、本シミュレーション環境にキーボードで操作可能なゲームモードを搭載し、知り合いの複数のゲーマーに依頼して、ゲームとして攻略してもらうことにした。つまり、ゲーマーの英知によって、現実問題に対する最適なアプローチを導き出してもらうのだ。協力してくれたゲーマーの客観的な評価は難しいが、「スプラトゥーン2」では「ウデマエX」の実力を持ち、状況観察およびキャラクターコントロールに長けている人たち――といえば一部の読者には通じるだろうか。

 3人のゲーマーたちそれぞれにシミュレーション環境と同様、最大20回までのチャレンジを許容し、ゲームモードをプレイしてもらった。その結果は以下の通り。

 各ゲーマーとも、ベンチマークである自動モードを上回る達成率だ。ゲーマーたちの手に掛かれば、たとえ会社の同僚が出現しても、遭遇を避けて目的地にたどり着けるようだ。それぞれのプレイヤーのリプレイから、具体的に同僚との遭遇を避けるためのメソッドをみていく。

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