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「休日に会社の同僚と遭遇しないための動き方」を物理シミュレーションとゲーマーの英知で解き明かすデータサイエンスな日常(4/4 ページ)

» 2019年10月15日 07時00分 公開
[篠田裕之ITmedia]
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プレイヤー3:能登ルーレット

 最後に、プレイヤー3。彼は最も状況把握に長けており、臨機応変に複数の戦術を使い分ける。今の状況で避けることが困難だと思えば、後ろに引き返したり、脇道に隠れたりして状況が好転するのを待つ。

 彼の戦術の中で最も特異なのが「能登ルーレット」だ。これは、どうしても同僚の視線を遮るものがない場合、あえて同僚に近づき円弧状に移動することで、最短時間で同僚の視線外に移動するという方法だ。

 これによって、たとえ視線内に入っても、気づかれる前にすれ違うことを可能にした。なお、本手法の名称は、彼の出身地である能登半島の形状が、歩行の軌跡と類似していることから名付けられた。結果、彼の達成率は全ゲーマーの中で最も高くなった。

 いかがだろうか。休日に同僚と遭遇しそうになっても、このように適切な距離感を保つことができれば、充実した週末を送ることができるのではないだろうか。もちろん、時には会社の同僚と能動的に会い、飲みに行くことなども有意義だろう。本記事は、休日に会社の同僚と会うこと自体を否定するものではなく、自分の意図に反して(意図によらず、ではなく会いたくないときに)偶然出会うことを避けるためのものだ。

 最後に。私は、下北沢を引っ越した。

著者プロフィール:篠田裕之

博報堂DYメディアパートナーズのデータサイエンティスト。さまざまな業界において、ビッグデータ分析に基づくコミュニケーション施策提案、商品開発などに携わる。その他、観光、スポーツに関するデータビジュアライズに従事。

「博報堂DYメディアパートナーズでは、メディアが日常のさまざまなシーンに拡がる社会を想定し、生活者行動を各種センサデータなどによって計測していきます。また、近年の個人データ保護の観点を鑑みて、仮想空間における物理シミュレーションを併用して、現実世界では取得しづらいデータを生成し、店舗やイベントの導線設計などに活用していきます」

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