公正取引委員会がCookieの利用を規制する方向で検討に入ったと、朝日新聞が10月29日付で報道し、Twitter上で話題になっている。公取委は、利用者の行動追跡に利用できるCookieが個人情報などに当たるとして、取得時に利用目的の明示などを求める考え。一方、経団連は「経済の発展を阻害する」として規制案に反対している。
【修正履歴:2019年10月29日午後7時57分 記事の記述を一部修正しました】
【修正履歴:2019年10月29日午後10時35分 記事の記述を一部修正しました】
Cookieは、Webページを閲覧したときのデータを一時保管する仕組み。Cookieの情報だけでは個人を特定できないため、個人情報保護法の対象ではないが、他の情報と組み合わせれば特定できる場合もある。
公取委は8月、消費者保護を目的としてデジタルプラットフォームを運営するIT企業と消費者間の個人情報取引について整理したガイドライン案を公表した。同案では、「大手IT企業が消費者に対し優位な立場にある」と指摘した上で、(1)利用目的を消費者に知らせない、(2)利用目的の範囲を超える、(3)消費者の意思に反する──ような個人情報の取得方法を、独占禁止法上の「優越的地位の乱用」に基づき禁止する考えを示している。同委はCookieも同ガイドライン案が取り扱う対象であるとして、規制の適用を検討している。
Cookieが同ガイドライン案の対象になれば、事業者はポップアップなどを使って利用目的を明示しなければならない。経団連は「多くの事業者は対応に追われ、コストもかかる。経済の発展を阻害するため、新たな規制はいらない」と懸念。事業者の実態と消費者への影響も考えて慎重な議論を求めている。
欧州ではすでにCookie利用の規制が始まっている。2018年5月には個人に関するデータの取り扱いを定めた「EU一般データ保護規則」(GDPR)が施行された。Cookieは個人データとして扱われ、情報を取得する際にはポップアップなどで利用目的を示し、同意を得る必要がある。
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