米Googleは8月22日(現地時間)、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、最適な広告を表示するためのイニシアチブ「Privacy Sandbox」を提案した。Web標準プロセスに従い、業界からのフィードバックを求めている。
広告はGoogleにとって需要な収入源(直近の四半期業績で、広告収入はGoogleの総収入の84%を占める)だ。だが、「Webサイトオーナーや広告主がユーザーに関連性の高い広告を表示するために使うテクノロジーが、オリジナルの設計意図をはるかに超えつつあり、ユーザーのプライバシーに関する期待に一致しなくなった」ため、Webプライバシーを根本的に強化するための一連のオープン標準を開発するイニシアチブとしてPrivacy Sandboxを立ち上げたと、Chromeエンジニアリング担当ディレクターのジャスティン・シュー氏は公式ブログで語った。
Webサイトや広告主と共有されるユーザーデータはユーザー情報を匿名で集約し、多くのユーザー情報をオンデバイスに保持することで最小限に抑えつつ、最適な広告を表示することを目指す。
「最近、他の一部のブラウザーがこの問題に対処しようとしたが、標準のないままのユーザーのプライバシーを改善しようとする試みは、意図しない結果をもたらしている」という。これは、MozillaとAppleのトラッキングブロックを指しているようだ。
まず、Cookieのブロックにより、パブリッシャーの収益が大幅に減少する。世界の500のGoogle Ad Managerサイト運営者のトラフィックの一部を分析したところ、Cookieが存在しないトラフィックは、Cookieが存在するトラフィックよりもパブリッシャーの収益が平均52%減少したという。特にニュースメディアサイトでは、平均62%減少した。
また、Cookieの制限により、一部の業者がフィンガープリントなどの回避策を使うようになった(MozillaとAppleはフィンガープリントはブロックしていない)。フィンガープリントはCookieと異なり、ユーザーがクリアできないため、情報の収集方法を制御できない。これではプライバシー保護として前進ではなく後退だとGoogleは指摘する。
GoogleはGoogle I/O 2019で、クロスサイトCookieとフィンガープリントを制限する計画を発表している。これらの取り組みはChromeブラウザに近く追加していく計画だが、Privacy Sandboxの開発は複雑なプロセスであり、エコシステムの変更には時間がかかるとしている。
Privacy SandboxのアイデアについてはChromiumブログにまとめられている。
「オープンでアクセスしやすいWebの信じられないほどのメリットを次世代のインターネットに確実に継続させるために、これらの問題を一緒に解決する必要があると考えている」(シュー氏)
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