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» 2019年11月01日 18時32分 公開

PayPay軸に「海外のプラットフォーマーに対抗」 ヤフー改め「Z」、川邊社長の狙い

「Zホールディングスは、注力するサービスにリソースを集中させ、一気に大きく成長させる。今の注力分野はPayPayだ」──同社の川邊健太郎社長はそのように意気込む。

[片渕陽平,ITmedia]

 「Zホールディングスは、注力するサービスにリソースを集中させ、一気に大きく成長させる。今の注力分野はPayPayだ」──同社の川邊健太郎社長は、11月1日に開いた決算説明会でこう意気込んだ。川邊社長の発言からは、モバイル決済サービス「PayPay」をコマース事業、メディア・広告事業などの成長ドライバーとして生かそうとする意図がうかがえる。

photo Zホールディングスの川邊健太郎社長=11月1日の決算説明会で撮影

「PayPay単体では大きくはもうからない」

 Zホールディングスは、旧ヤフーから10月1日付で社名変更。持ち株会社として、メディア事業や広告事業などを担う新会社「ヤフー」や、金融子会社を統括する中間持ち株会社「Zフィナンシャル」などを傘下に持つ。事業会社に経営資源を最適に分配し、グループ全体を成長させる考えだ。

photo Zホールディングスの体制=同社の決算資料より

 新体制の動力源として、川邊社長が熱視線を向けるのがモバイル決済サービス「PayPay」だ。同氏が「もう1つのYahoo!JAPANを作るくらいの覚悟で臨んでいる」というPayPayは、サービス開始から約1年で決済回数が9612万回(19年7〜9月)に成長。10月単体では、消費増税に伴うポイント還元の影響もあり、約8500万回に達したという。

photo ヤフーとソフトバンクが出資するPayPayは、決済回数が9612万回(19年7〜9月)となるほどに成長

 川邊社長は「予想以上にユーザー数が伸びている」としながらも、「決済サービス単体では大きくはもうからない。(決済サービスと組み合わせる)マネタイズ手法を豊富に用意することで、いち早く収益化できる」と強調。コマース事業やメディア・広告事業とPayPayを連携させ、相乗効果を狙うとした。

PayPayフリマ・モール開店、コマース事業を成長へ

 Zホールディングスが11月1日に発表した2020年3月期第2四半期(19年4〜9月)連結決算は、売上高が4841億円(前年同期比4.1%増)、営業利益が756億円(同9.0%減)、純利益が511億円(同7.2%減)と増収減益。このうち主力のコマース事業は、売上高が3354億円(同6.1%増)、営業利益が356億円(同14.5%)と好調だ。

 コマース事業では、10月にフリマアプリ「PayPayフリマ」とECサイト「PayPayモール」をローンチしたばかり。前者は、成長が鈍化しているネットオークション市場とは別に、伸びしろのあるフリマ市場への参入を意味する。後者は、「Yahoo!ショッピング」と比べて出店条件を厳しくし、ライトユーザーでも安心・安全に使えるサービスをうたう。

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 川邊社長は「勢いに乗るPayPayを名に冠したサービスなので、利用者を一気に伸ばしたい」と意気込む。PayPayフリマとPayPayモールでは11月1日から、PayPayユーザーを対象に、購入額の最大20%相当を還元するキャンペーンも展開する。「これまでYahoo!ショッピングを使っていない人も含め、PayPayのユーザーを取り込んで、当グループのECサイトを利用してほしい」(同氏)

 また、買収を進めるZOZOとの連携も見据える。川邊氏は「ZOZOTOWNへの一刻も早いPayPayの導入、PayPayモールへの出店を進めたい」としている。

「海外のプラットフォーマーに対抗する手段になる」

 PayPayは、メディア・広告事業の成長にも役立てる。川邊社長は「広告ビジネスを伸ばすために、中長期的には統合マーケティングソリューションの提供を目指す」という。ネット広告が実店舗の購買にどれほど貢献しているかを可視化し、広告主にとって効果的なマーケティングを後押しするという。その第1弾が、11月1日に始めた「PayPayコンシューマーギフト」だ。

 同サービスではYahoo! JAPANにオンライン広告を掲載し、その広告を見た人が商品を購入するとQRコードを付与。QRコードをスマホで読み取った人の中から、抽選で「PayPayボーナス」「PayPayボーナスライト」を提供する――といったキャンペーンを展開する。

 この際、PayPayで商品を購入したユーザーがYahoo! JAPAN IDを使ってログインしていれば、ネット広告の閲覧と購入の有無を結び付けられる。既に伊藤園がキャンペーンに取り入れた他、「百数十社から引き合いがある」(川邊社長)という。

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 川邊社長は「(認知だけでなく、オフラインの購買まで一気に可視化できれば)海外の巨大なプラットフォーマーに対抗し得る、有効な手段の1つになる」と期待を寄せる。

 政府が「デジタル・プラットフォーマー」と呼ぶ巨大IT企業を巡っては、公正取引委員会が規制を強化する姿勢を見せている。公取委は8月末に、プラットフォーマーが強い立場を利用し、不当に消費者から個人情報などを入手することは「優越的地位の濫用(らんよう)」に当たる可能性がある──とし規制案も公表した

 こうした中、川邊社長は「日本のネットユーザーを最も理解し、最も信頼される国産のプラットフォーマーを目指す。海外のプラットフォーマーが大きくなる中、埋没することなくネットユーザーに支持される存在になる」と展望を語った。

 Zホールディングスの20年3月期(19年4月〜20年3月)連結業績予想は、売上高が1兆円〜1兆200億円(前年比4.7%〜6.8%増)、営業利益が1406億円〜1500億円(同0.1%〜6.7%増)、純利益が790億〜850億円(同0.4%〜7.6%増)で据え置く。買収するZOZOの収益は加味していないという。

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