「ヤフーは今まで広告事業がメインだったが、EC(ネット通販)事業も大きな柱にし、収益のドライバーにしたい。その戦略に即して、ZOZOとの資本・業務提携を決めた」。ヤフー社長の川邊健太郎氏は、9月12日に開いた記者会見でこう説明した。
ヤフーは同日、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」運営元のZOZOを買収する方針を発表。10月上旬をめどに株式公開買い付け(TOB)を行い、約4000億円を投じて株式の約50.1%を取得し、連結子会社化を目指す。ZOZO創業者の前澤友作氏は同日付で代表取締役社長を退任し、今後は「新しい道へ進む」という。後任には前取締役の澤田宏太郎氏が就いた。
会見には川邊氏、澤田氏、前澤氏が登壇。提携を決めた背景と、それぞれの胸の内を語った。
川邊氏は、ZOZOを買収する主な理由として(1)ヤフーが今秋オープン予定の新しいECサイト「PayPayモール」にZOZOTOWNを出店させることで高い送客効果が見込めること、(2)EC事業の購入者数・取扱高・営業利益の大幅な伸びが期待できること――の2点を挙げる。
「Yahoo!ショッピング」など、ヤフーが運営するECサイトは現在、30〜40代のユーザーが中心。一方のZOZOTOWNは、20代の若年層が中心だ。今後ヤフーはZOZOTOWNに出店中のブランドと交渉し、PayPayモールへの出店を依頼する予定。同サイトの品ぞろえを強化し、手薄だった若年層の獲得を図っていくという。
両社の2018年度の年間取扱高は、ヤフーのEC事業が1兆8700億円、ZOZOが3231億円。市場の平均を上回る水準で伸長しているといい、「合算すると2兆円を超えるが、色んなシナジー効果によって(合算値以上に)取扱高を爆増させる」と川邊社長は意気込んだ。
また、両社の19年度の営業利益見通し(EC事業のみ)は、ヤフーが約700億円、ZOZOが約320億円。これらの合算値は、ヤフーの18年度の営業利益(同)の1.8倍に上るといい、川邊社長はこれについても「シナジーを効かせれば、もっともっと営業利益を出せる」と強調した。
19年度にこれらの数値を達成した上で、今後も順調に伸び続けた場合は「国内EC事業者でナンバーワンが現実的になってくる」(川邊社長)という。
市場トップという目標は20年代前半での達成を目指すといい、「本当に達成するの? 楽天やAmazonは強いんじゃないの? と思われるかもしれないが、かなり現実的に手が届きつつある」と川邊社長は自信をのぞかせた。
実現に向け、今後はZOZOTOWNへのモバイル決済サービス「PayPay」導入、ZOZOの古着通販サイト「ZOZOUSED」やファッションコーディネートアプリ「WEAR」との連携といった施策も検討しているという。
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