Googleさんがウェアラブル企業のFitbitを21億ドルで買収しちゃいました。21億ドルというのは、Motorola Mobility(125億ドル)やNest(32億ドル)よりは安いお買い物です。
Made by Googleなスマートウォッチ「Pixel Watch」の登場をずっと待っている人々(私も)は、このニュースにちょっとわくわくっとしたことでしょう。Fitbitにはフィットネストラッカーだけでなく、Pebbleの買収で追加したスマートウォッチ製品があるんですから。
Fitbitユーザーの反応は、接続先(母艦)をiPhoneにしているかAndroidにしているかで違うようです。Fitbitは買収完了後もiOSのサポートを続けると明言していますが、このニュースの後、「(Fitbitのスマートウォッチをやめて)Apple Watch買ってくる」というようなツイートがたくさん見受けられました。
Pixel Watch待ち組も、手放しでは喜べません。Googleのこれまでの買収の顛末を見てきているからです。前述のMotorola Mobilityなんて、紆余曲折の末、数年後には結局、特許や優れた一部の人材だけ残して後はぺっぺと吐き出しちゃいましたから。
Nestの統合も、今のところまだギクシャクしています。日本は関係ないですが、Nestのユーザーに対して買収の数年後、アカウントをNestからGoogleに切り替えるようお願いして大ひんしゅくを買っています。Fitbitでも同じことをするかもしれません(Nestを教訓として、もう少しやり方がましになるかもしれませんが)。
ちなみにFitbitの公式発表によると、Fitbit製品の世界のアクティブユーザー数は2800万人です(ユーザーベースの獲得が目的、というわけではなさそうです)。
そもそもFitbitの製品は、Wear OSではなく独自OS「Fitbit OS」で動いています。Googleは発表文で「Fitbitのチームと協力して、最高のAI、ソフトウェア、ハードウェアを統合することで、ウェアラブルの革新を促進し、世界中のさらに多くの人々に利益をもたらす製品を構築できる」と言っていますが、Fitbit OSを残してWear OSと並行して提供するのは、既存ユーザーにとっては必要なサポートですが、無駄が多すぎます。最終的にはリソースをWear OSに注ぎ込んで、Made by Googleの一員にすることになるでしょう。
ところで、Googleさんは1月におしゃれスマートウォッチを販売するFossilから知財と人材を4000万ドルで買い取りました。このときも、「これでPixel Watchが!」と喜んだものです。
FitbitチームはFossilを含むMade by Googleに合流することになります。重複する技術もあるし、文化もかなり違いそうなので、落ち着くまでは大変そう。
今回の買収のうわさが、「AlphabetがFitbitに買収をもちかけた」というところだったのも気になります。Google自身じゃなくて、その親会社のAlphabetが考えた買収ということ。現場が、「この技術が足りないから」と考えたんじゃなくて「いつまでたってもWear OSが軌道に乗らないからカンフル剤代わりにFitbitでも買うか」というノリだったら(まさか)。。。
HTCのPixelチームを買収したことは成功だったと思います。Pixel 3aとPixel 4はその成果だし、いい端末です。これは、現場同士が長く協力し合った末の買収でした。
希望を持てるとしたら、今Made by Googleを率いているのがリック・オステルローさんである点。この人はMotorola Mobility出身で、Googleによる買収と売却で辛酸をなめたはずです。Nestの統合ではややぎくしゃくしましたが、それまでの経緯を考えればうまくまとめたと評価されていいでしょう。
いずれにしてもGoogleがPixel Watchに本気で取り組もうとしていることだけは確かです。ヒロシ・ロックマイヤーさんもそうツイートしてます。
ただ、Fossil買収の時点では2020年には出るかな?と期待していましたが、これからいろんな技術を取捨選択・統合していくことを考えると、発売はもっと先になるのかもしれません。
Fossilのようなおしゃれなデザインで、Fitbitのヘルストラッキング機能を持ち、日本でもGoogle Payを使えるPixel WatchがGoogleのアンビエントコンピューティングの一員として登場するのを楽しみに待っています。
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