米Googleが、「Project Nightingale(プロジェクト・ナイチンゲール)」というコード名の下、米国の数千万人もの患者データにアクセスしていると、米Wall Street Journalが11月11日(現地時間)、独自に入手した文書に基づいてそう報じた。
同メディアによると、Googleは2018年、米国で2番目の規模の医療団体Ascensionと契約し、このプロジェクトを開始したという。
Googleがアクセスするデータには、患者の検査結果、診断内容、入院記録、患者名や生年月日などが含まれ、少なくとも150人のGoogleの従業員が数千万人の患者のデータにアクセスしているとしている。このプロジェクトについては患者も医師も通知されていない。
ただし、プライバシーの専門家によると、米連邦法でこうした取り組みは合法だとWall Street Journalは説明した。米連邦法では、データの利用が医療機能を実行するためにのみ行われる場合は、病院は患者に報告することなくビジネスパートナーとデータを共有できることになっている。
Project Nightingaleでは、Google Cloud Platformに構築したAIシステムで患者データを解析し、適したケア方法を提案する。これは、医療機能を実行するためのデータ利用と言える。
この報道の後、GoogleとAscensionは共同でプレスリリースを出した。この発表文はプロジェクトには直接触れていないが、Google Cloud社長のタリク・シャウカット氏は「ヘルスケアシステムのリーダーであるAscensionと協力することで、クラウド、データ分析、機械学習、最新の生産性ツールの力でヘルスケアの提供を変革したい」と語った。
発表文にはまた、GoogleとAscensionの契約に関連するすべての作業はHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act、米国の医療保険の相互運用性と責任に関する法律)に準拠しており、データ処理はAscensionの厳格な要件を順守して行われると書かれている。
Googleはヘルスケアアプリ「Google Fit」を提供しているが、フィットネス機能に留まっている。同社は11月1日にフィットネストラッカーの米Fitbitを買収すると発表しており、ヘルスケアに本格的に取り組もうとしているようだ。
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