キースイッチは打鍵感を決定するための最重要部品である。メカニカルキーボードについて少し調べたことがあれば、「赤軸」「青軸」「茶軸」といったスイッチの軸の色に基づいた呼び方を聞いたことがあるだろう。メジャーなものとしては独Cherry製の「Cherry MX」シリーズがある。近年ではこのCherry MXの互換品を複数の会社が数多く販売しており、軸の色では分類しきれないほどだ。キースイッチだけで一つの記事が書けてしまうのでこれ以上は割愛するが、打鍵感を求めてあれかこれかと試行錯誤するのは、自作キーボードの“沼”要素の一つでもある。
【訂正:2019年11月28日午後7時 スイッチの製品名に誤りがあったため、修正しました】
キーキャップはいわば、デスクの上を彩るキーボードの“顔”であり、これもまた素材や形状で多くの種類がある。指が直接触れる部分であるため打鍵感にも影響してくるが、見た目を優先して選んでもいい。Corne Cherryのような一般的ではない配列では汎用品の交換用キーキャップが一部使えないため、選択肢が限られてくる。組み立てようとするキーボードに対して数が揃っているか、形状が合うかなどをしっかりチェックしよう。
他には、PCとつなぐためのUSBケーブル(Corne CherryはA to MicroUSB Bタイプ)と左右のキーボードを接続するためのTRRSケーブル(4極イヤフォン端子のオス−オスケーブル)が必要となる。
内容物のチェックが終わったら組み立てを始める。組み立てにははんだごて、はんだ、ピンセット、ドライバーなどの工具が必要になる。普段あまりこの手の工作をしない人にとっては道具をそろえるところからという人も多いだろう。
今回の記事や前回の連載で紹介している遊舎工房では、秋葉原の実店舗で工作室の時間貸し出しを行っている。はんだごてなどの各種工具も借りられるので、工具の購入はともかくまずは組み立ててみたいという人は訪れてみるのもいだろう。もしくは、周囲に自作キーボードを組み立てたことのある人や電子工作経験者がいれば、そういった人たちに相談して貸してもらうというのも手だ。
道具をそろえようとする人に対して一つ付け加えるとするならば、安価なものでよいので導通チェック機能を持つテスターを購入することをおすすめする。これは自分自身ではんだ付けの不備をチェックするだけでなく、うまく動かないなどトラブルが起きたときに、コミュニティーに相談する場合にはテスターでの導通チェックをほぼ確実に求められるからだ。「自作キーボードが動かない原因の9割ははんだ付け不良」といわれるほどなので、テスターは持っていて損はない。
基本的に、各自作キーボードキットの組み立て方法は、設計者がビルドガイドという形で公開している。各キットを実際に組み立てる際には、それぞれのビルドガイドを参照しながら進めてほしい。
組み立てを始める前に基板を左右に並べ、どちらが右側と左側になるか決めてから作業を進めよう。Corne Cherryだけでなく左右分離型キーボードの基板の多くは、左右で同一の基板を用い、片方を裏返して使うことで左右のキーボードとしている。これを決めないと組み立て途中で右手側を2つ作っていた……なんてことになりかねない。
まずは基板にダイオードをはんだ付けしていく。詳しい説明は省くが、ダイオードはキーボードの複数キーの同時押しを正しく検出するための部品だ。小さい上に向きのある部品のため難しそうに見えるが、ピンセットを駆使して基板のマークに合わせ、片方ずつはんだ付けを行えば確実に取り付けられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR