ITmedia NEWS > STUDIO >

こっちの沼は深いぞ、自作キーボード組み立て入門 左右分離型の「Corne Cherry」で各工程を解説ハロー、自作キーボードワールド 第2回(1/5 ページ)

» 2019年11月28日 14時00分 公開
[ぺかそITmedia]

 自作キーボードの世界の入り口を紹介する本連載。第1回では、自作キーボードの日本国内での隆盛を紹介した他、新しくこの世界に入ってみたい人に向けた「2019年式自作キーボード入門法」をお伝えした。今回はそこから発展させた内容として、実際に自作キーボードのキットを1台組み立てる流れを紹介する。各パーツの名称や役割など、これから自作キーボードを始めようと思っている人にイメージが湧くようなものになればと思う。

今回組み立てた自作キーボード「Corne Cherry」

目次

ぺかそ(@Pekaso)

自作キーボード「Fortitude60」作者。自作キーボードの基本から設計方法までまとめた同人誌「BUILD YOUR OWN KEYBOARDs」を執筆。

連載:「ハロー、自作キーボードワールド」

自作キーボードの作者であり、キーボード関連のニュース動画「ほぼ週刊キーボードニュース」を配信するぺかそとびあっこが、自作キーボードの世界の“入り口”を紹介していく。


左右分離型でコンパクトなキーボード「Corne Cherry」を組み立てる

 自身でイチから設計をしない限りは、販売されているキットを購入して組み立てていくことになる。幸いなことに2019年現在は国内でも自作キーボードキットが手に入りやすくなっている。今回はその中から、組み立て工程がメジャーで、入手が容易、かつ日本国内の自作キーボードとして有名なものの一つであるfoostan氏設計の「Corne Cherry」を選択した。

 Corne Cherryは、片手21キー、両手で42キーの小型な左右分離型キーボードだ。海外コミュニティーでも「Crkbd」という名前で親しまれている。

 本当は、筆者が設計した「Fortitude60」もおすすめしたいところだが、やや癖のある組み立て工程となるため今回は見送ることにした。腕に自信のある読者はこちらも検討してみてほしい。

遊舎工房から届いた自作キーボードキット「Corne Cherry」。部品が袋分けされて入っている

組み立て前の必須過程 キットの内容物をチェック

 続いてキットの内容を見ていく。多くのキットは回路が収まった基板や電子部品のセットという形で提供されており、これにキースイッチやキーキャップは含まれない。これらはそれぞれの好みが出てくる部分でもあり、最終的な見た目や打鍵感にも関わる。ため、キットを買う際にはキー数を確認してスイッチやキャップも忘れずに購入しておこう。

 まずは基板(PCB)だ。これはキースイッチやその他の電子部品を接続する電気的配線が施された板であり、基板に電子部品をはんだ付けして組み立てていく。国内の自作キーボードキットは自分ではんだ付けするキットがほとんどだが、海外製品や国内のごく一部にはすでに部品がはんだ付けがされているものもある。

 PCBにはんだ付けする各種電子部品については後述する。細かい部品が多いため、組み立てる前に数が合っているか確認しておこう。

一般的なキーボードでは見る機会の少ないPCBだが、自作キーボードではPCBにきれいなデザインを施したものも多い
その他電子部品たち。基本的にこれら電子部品をPCBにはんだ付けしていくのが組み立ての大部分になる

 キースイッチプレートはキースイッチを固定するための板だ。キットによって、アクリルやPCB素材、金属製など素材はさまざまだ。素材によって硬さやしなり具合などが異なるため、打鍵感に影響する重要な部品の一つだ。

プレート。写真上はキットに標準で付属するPCBと同じ素材でできたプレート。下は別途遊舎工房のキーボードアクリルプレートサービスで注文したアクリル製のプレート

 ケースの構造については多くの形式があるためここでは省くが、今回のCorne Cherryを含む国内の自作キーボードの多くはアクリルプレートを使った「サンドイッチ構造」を採用している。これは電子部品を実装したPCBをキースイッチプレートと底にあたるボトムプレートで挟んでネジ止めする構造のこと。アクリルでカラーバリエーションを作りやすいため、キーボードの設計者の間で好まれ、よく採用されている。

ケースとなる底面と有機ELなどを保護するアクリルプレートと、PCBと一緒に組み上げるためのスペーサーやネジ、ゴム足などが付属する
今回はキーボードアクリルプレートサービスでプレートと同一色のアクリルケースで組み立てる
       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.