例えばGPSは位置情報の提供のみならず、金融サービスや4K/8K放送での「時刻合わせ」にも活用されています。ひとたびサイバー攻撃が発生すると、容易に連想される交通事故のみならず、金融取引や4K/8K放送にも支障が出るといった形で、思いもよらないところに影響が及ぶ可能性もあるわけで、リスク評価1つを取っても複雑化しています。
名和氏は、宇宙システムを狙う脅威に関わるアクターは数多く存在することを踏まえ、今までIT向けの対策で磨いてきた技術やノウハウを組み合わせながら取り組む必要があると指摘します。
「全方位的に状況認識を行い、対処することが必要だ。SOCで一箇所だけを見るのではなく、持ち込まれる端末や盗まれた認証情報が悪用されることも想定し、どこで何が起きているか、通常時と異なったことが起きていないかを検知する分析が必要だ」(同氏)
宇宙開発が、国家だけのものから民間に広がってきたのを追いかけるように、宇宙システムを狙う脅威が広がりつつあるようです。はやぶさ2が地球帰還の道についている今、航空・宇宙業界で培われてきた安全に関する工学やオペレーションのノウハウに、サイバーセキュリティに関する知見をうまく生かす術が見いだされることを願ってやみません。
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