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データサイエンティストの素養は「獣神サンダー・ライガー選手」に学べマスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(3/5 ページ)

» 2019年12月05日 07時00分 公開

異なる環境への順応と、試行錯誤するチャレンジ精神

 デビューから数年後、山田選手は英国への海外遠征に旅立ちます。現地の食事が合わずに体重が減るなどの苦労もありましたが、新たな環境で経験を積み、転機が訪れました。

 データサイエンティストも同様に、セキュリティの都合による客先常駐や、地方工場への長期滞在を経験する場面があります。ここで環境が変わろうとも、成果を出すことが次のチャンスにつながります。データサイエンスが役立つのは、自社の業務だけではありません。場所や環境にとらわれずにスキルを生かす方法を考えましょう。

 英国遠征後に山田選手は消息不明となり、入れ替わるようにして獣神ライガー選手(当時)がデビューします。獣神ライガー選手は全身コスチュームで動きにくく、マスクと長髪で視界も悪いためプロレスには不向きなスタイルでした。

 それでも試行錯誤しながら、プロレスラーとしての地位を築いていきます。データサイエンティストも未経験の分野への挑戦や試行錯誤は避けられません。ここで「やったことがない」「意味がない」「無謀だ」と否定しては、何も進みません。先入観を持たずにまずはやってみる、成功するまで挑戦するという泥臭い作業も必要です。

 また、消息不明になった山田選手について、ライガー選手は「山田は死んだ。リバプールの風になった」という名言を残しています。データサイエンティストも数字やデータで説明だけでなく、相手の感情を揺り動かす説得力が求められます。「リバプールの風」のように、相手の気持ちに訴えかける表現を用いましょう。人間はデータという事実だけでは動きません。ファンの心を動かすライガー選手のような表現力が求められます。

自ら活躍の場を広げ、人脈や信頼関係を構築

 ライガー選手は日本のみならず、米国、欧州、メキシコなどにも参戦し、現地でも絶大な人気を誇ります。これはプロレスが、国籍や言語、人種を越えた共通認識であることの現れです。データサイエンティストが活躍する場も日本に限りません。外国でのビジネスはもちろん、解決すべき社会問題は世界中に存在します。

 また、海外(特に米中)の事例や論文、技術発表などの情報収集も欠かせません。このように活躍の場を自ら広げて勉強会やセミナーに参加するなど、視野を広く持つことが大事です。

 ライガー選手は団体の垣根を越えていろいろな選手と試合を重ねて、プロレス界全体(特に小柄な選手の活躍)を活性化させました。当時の他団体は「インディー」と呼ばれていましたが、ライガー選手は「インディーという呼び方は嫌い」「いろいろなプロレスがあっていい」と、自ら他団体のリングで戦いました(奥様がプロレスファンで、他団体や選手を紹介されたそうです)。こうした取り組みについて、ライガー選手は「プロレスが好きだからやっている」「他団体の選手に刺激を受けて、自分を引き上げてもらった」と公言しています。

 産業界でも大企業がベンチャーを下請け扱いしたり、IT部門を外注先に丸投げするという問題があります。発注元と受注先という上下関係ではなく、平等な立場でリスペクトしながら切磋琢磨(せっさたくま)することが大事です。企業もデータサイエンティストも、本来の目的はお互いの強みを生かして伸ばすことです。企業、教育機関、官公庁、自治体など立場を越えて、本当の意味での「共創」を実現しましょう。

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