コンテナ利用企業を対象に、使用しているコンテナオーケストレーションツールを聞いた結果、「Kubernetes」を利用している企業が45.5%を占めた。次点は「Red Hat OpenShift」で19.8%だった。
Red Hat OpenShiftもKubernetesベースであるため、Kubernetesがオーケストレーションツールのデファクトスタンダードになりつつあるようだ。
「今後はさらに、ソフトウェアベンダーが提供するKubernetesディストリビューションの採用が拡大していく」と入谷氏はみている。19年時点のコンテナディストリビューション市場の規模は29億円程度だが、今後は年平均62.8%で成長し、23年には151億円にまで拡大していくという。
「エンタープライズのシステムでコンテナを利用しようとすると、ネイティブのものでは導入・運用のハードルが高い。企業では、ベンダーのディストリビューションを導入して、サポートを得ながらエンタープライズ向けの拡張版を使うのが一つの流れになっている。OpenShiftのサポートを行う声明を出している大手SIerもあり、エンタープライズへの導入は加速していくだろう」(入谷氏)
コンテナだけでなく、サーバレスも重要なクラウドネイティブ技術の一つだ。サーバレスとは、サーバのリソースに依存することなく、イベントやリクエストに応じてコードを実行する機能を提供するもので、FaaS(Functions as a Service)とも呼ばれている。
開発者がインフラやアプリケーション実行環境を意識することなくコーディングに専念できるため注目されている技術で、大手ベンダーからは「AWS Lambda」「Azure Functions」「Google Cloud Functions」などが提供されている。
IDC Japanの調査によると、サーバレスの導入率自体はコンテナとほぼ変わらないが、導入・構築/テスト/検証段階にある企業の割合がコンテナよりも多く、コンテナより速いスピードで導入が進んでいるという。
この要因について入谷氏は、「コンテナよりも柔軟性は低いが、モバイルやIoTのバックエンド処理、API連携、バッチ処理などユースケースがはっきりしているため、導入の意思決定がしやすいのでは」と分析している。
サーバレスに関しても、導入準備を行っている企業が本番環境での利用を始める20年ごろから本格的な普及期に入るようだ。
入谷氏は「今後は、仮想基盤上のWebアプリケーションや業務アプリケーションの周辺・拡張モジュールなど、既存のアプリケーションをいかにクラウドネイティブ化していくかにも注目が集まるだろう」と語る。
クラウドネイティブ技術は今後、どのように発展・普及するのだろうか。20年もその動向から目が離せない。
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