2020年春、いよいよ日本でも始まる5Gの商用サービスにおいて、最初のハードルになりそうなのが高価格帯で登場すると予想される「5Gスマホ」への買い換えだ。
19年11月に5Gサービスが始まった中国では、Huaweiの最上位機種「HUAWEI Mate 30 Pro」の4G版が約9万9000円、5G版は約10万8000円とその差は約1万円だ。だが5G版には大容量の512GBモデル(約12万4000円)が用意されているように、5G版の高速通信を生かす付加価値が追加されると、価格差はさらに広がる可能性もある。
5Gサービスの開始後、日本全国に基地局が展開されるには数年かかる見通しだ。その間、同じスマホの4G版と5G版が並行して売られるならば、割安な4Gスマホを選ぶ消費者も多いだろう。最近ではスマホの買い替えサイクルは3〜4年にも長期化する傾向にあることから、5Gスマホの普及には時間がかかりそうだ。
だが普及を後押しする動きもある。それがミドルレンジ端末の5G対応だ。初期の5Gスマホはハイエンド端末ばかりだったが、Samsungは手の届きやすい価格帯に「Galaxy A90 5G」を投入することで本格普及を図ってきた。日本の5Gサービスにおいて「ミドルレンジ5G機」が最初から登場するかどうかに注目したい。
5Gサービスの開始に向けて懸念されるのは「過剰な期待」だ。高速・低遅延・多接続といった特徴で語られる5Gだが、それらを活用するコンテンツやサービスがなければ絵に描いた餅にすぎない。通信キャリア各社は5Gの「キラーアプリ」を求め、ARやVR、ストリーミングやeスポーツなど手当たり次第に模索しているのが現状だ。
5Gに期待しすぎた反動として、実際に始まったサービスに幻滅するときは来るかもしれない。だが、あらゆるモノがネットにつながり、誰もが持ち歩くスマホからアクセスできるよう社会の仕組みを整えていく大きな流れ自体は変わらない。5Gに期待されるのはその合言葉としての役割だ。
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