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» 2019年12月25日 07時00分 公開

「2年縛り」がなくなっても変わらない、「キャリアの価値」と「囲い込み」 10月以降の携帯契約を整理する

2年縛りがなくなった今、キャリアで契約を続ける価値をどう考えるべきだろうか。10月以降の携帯電話の契約事情を整理していく。

[迎悟,ITmedia]
かつて見かけた、スマホ本体の大幅な割引表示

 2019年10月以降、国内の携帯電話市場は大きく変わった。電気通信事業法の一部が改正され、本体価格の大幅な値引き販売が抑制されるなどの変更があったことから、駅前の携帯電話ショップや家電量販店でよく見かけた「数万円の還元」や「一括0円」のポスターを見かけることがなくなった。

 変わったのは割引キャンペーンだけではない。携帯電話の契約に必ずといっていいほど付いてきた「2年契約」も大きく変わった。約1万円と高額だった解除料は1000円に、または2年契約自体を撤廃する会社も出てくるなど、携帯電話の2年契約による“縛り”はほぼなくなったといえる状況だ。

 この2年縛り撤廃の動きは大手キャリアにとどまらず、MVNO業者も追従している。法改正では100万契約以上のMVNO業者も対象になっており、こちらでも2年契約による縛りのない料金プランへの変更が相次いで発表された。

 2年縛りがなくなった今、キャリアで契約を続ける価値をどう考えるべきだろうか。また、2年縛りがなくなってユーザーは本当に自由に乗り換えられるようになったのか。本記事ではこの辺りについて、10月以降の携帯電話の契約事情を整理していく。

多い窓口、手厚い補償 あらためて振り返る「キャリアの価値」

 2年縛りがなくなった今、携帯電話料金を見直すのであればMVNOを検討しない手はない。

 筆者は家族で大手キャリアのプランを契約している。家族の使い方を考えると、MVNOに乗り換えた場合に毎月の料金を現在の半額以下に抑えられることが分かっている。

 しかしそれでも大手キャリアを使い続けるのは、通信品質というのもなくはないが、それよりも「手厚いサポート」があるからだ。

 第一に、携帯電話本体の補償サービスの充実が挙げられる。端末の故障時、多くの街にあるキャリアショップから修理に出せる他、オンラインでも申し込みを受け付けている。有償の補償サービスに加入していればその日のうちに代替機を借りたり、同等品に交換してもらえたりすることもある。

ドコモの「ケータイ補償サービス」 その日のうちに代替機を借りたり、同等品に交換してもらえたりすることも

 大手キャリアはモバイル通信サービスの他にも「dマガジン」「au スマートパス」といったオプションサービスも併せて提供している。それらサービスのサポートも、“本業”で培われた窓口がそのまま担うため、サービスの利便性向上に一役買っている。

 MVNOも実店舗を出店する動きはあるものの、気軽に立ち寄れるほど数はない。サポート体制や補償サービスなどについても経験値の分だけキャリアが上回っているといっていいだろう。

2年縛りがなくなっても別の「縛り」が乗り換えのハードルに

 ではキャリア間の乗り換えについてはどうか。2年縛りがほぼ撤廃されたことで、ユーザーは自由に行き来できるようになったのだろうか。

 実は、キャリアユーザーの乗り換えを思いとどまらせる“仕掛け”は2年縛りだけではない。

 例えば、「家族で利用で割引」や「固定インターネット回線とのセット割」といった囲い込み施策だ。これらを利用しているために、他社への乗り換えが難しいといった声がある。

 特に固定回線の契約は、従来の携帯電話のように2年ごとの自動更新や約1万円の解除料が設定されている。さらに回線を引いた際の工事費として2〜3万円が請求され、これを36回払いなどで組んでしまっていると自動更新のタイミングともずれてしまう。これにより、途中の解約を面倒に思ってしまう人が出てくるのも想像に難くない。

 もちろん、固定回線を解約しなくても携帯電話だけで乗り換えることもできる。だが乗り換えによってセット割がなくなれば、携帯料金側である程度相殺できていた固定回線料金がそのまま毎月の費用に上乗せされることになる。

 料金的な意味での理想は、乗り換え先のキャリアで割り引きを受けられる固定回線に乗り換えることだが、すると携帯とネットの両方の手続きを行わなければならなくなり、手間は増える。このように、2年縛り以外にもキャリアは囲い込み施策を打っているので、いざ乗り換えようと思っても難しいパターンもあるのだ。

期待していたほどの値下げはなし 楽天の本格サービス次第か

 10月のタイミングで、キャリアが料金の値下げに踏み切るという予想もあった。第4のキャリアとして、楽天モバイルのMNOサービスが10月に始まることで競走が生まれ、端末本体の割引の代わりに通信料の値下げ合戦が始まると考えられていたからだ。

 しかし、現時点で楽天は5000人限定の無料モニターサービスを提供しているだけで、本格展開時の料金体系などは分かっていない(「500GB 900円」などと記載されたテストサイトのリークはあったが)。

楽天モバイルから流出した、MNOサービス紹介のテストサイト 内容は仮だという

 2年縛り以外の囲い込み策がいまだ有効な中、楽天の本格サービスが相当魅力的なプランにならない限りは、既存の大手3社がこれ以上の値下げを行うとは考えにくい。

 このような状況のため、携帯電話の料金だけを考えるなら、やはりMVNOへの乗り換えか、もしくは楽天モバイルの本格稼働を待つかするのが賢明だ。しかし、ここまで述べてきたようにプラスの側面とマイナスの側面で、2年縛りがなくなってもなお、現在利用しているキャリアから乗り換えにくいという事情もある。

 料金だけでなく、補償・サポートや2年縛り以外の囲い込み策などを総合的に考えて、乗り換えた方がいいのか検討したいところだ。

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