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» 2020年01月24日 09時00分 公開

ユーザーの覚醒度を計測するVR HMD用生体センサー 東大が発表Innovative Tech

市販のVR HMDを装着したユーザーの生体情報を取得する手法。

[山下裕毅,ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 東京大学による研究チームが2019年11月に発表した「Biofeedback Interactive VR System Using Biological Information Measurement HMD」は、VR体験中に生体情報を計測するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)取り付け型システムだ。

photo プロトタイプ、左が内側、右が外側

 HMDの鼻部分に手軽に取り付けられるのが特徴。Oculus RiftやHTC Vive、FOVEなど市販のHMDへの取り付けが可能だ。

photo HMDにプロトタイプを装着した様子

 また、顔に強く押し当てることができるため、頭や体の動きに対してズレにくく固定されるのも特徴。そのため、従来の指先や腰など個別に取り付けるウェアラブル生体センサーに比べて取り付け負荷が低い。 

 デバイスは、光電容積脈波センサーとサーモパイルの2種類のセンサーで光電容積脈波と呼吸波形を計測する。呼吸を計測するために、サーモパイルを配置して、呼気と吸気の温度差を活用。光電容積脈波センサーの適用によって光電容積脈波を計測し、脈波のピーク間隔を計算する。覚醒度は、心拍変動のパターンから評価を行う。これにより、体の動きにある程度頑健に、脈波と呼吸波を、覚醒度を計算するために必要な精度で計測できる。

 本システムを用いて研究チームは、バイオフィードバックインタラクティブVRゲームも提案する。推定した覚醒度に応じて、難易度を自動調整するVRコンテンツだ。例えば、ホラーFPSゲームでは、計測された心拍変動から推定されるプレーヤーの恐怖度に応じて、視野範囲を変更。恐怖度が低いと視界が悪くなり、恐怖を追求するプレイヤーにとってより面白くなる。

photo ホラーFPSゲームで計測した恐怖度に応じて視界レベルが変化している様子

 他にも、計測された呼吸に基づいてアバターの胸部を動かすVR療法で使用したり、VRボクシングゲームで鼓動を聴覚的に提示することで、プレイヤーの興奮を高めるなど応用範囲も広い。

photo 計測した呼吸に基づいてアバターの胸部が動作している様子

 本研究の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「SIP/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)によって実施されたものである。

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