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コード決済で「キャッシュレス」は日本に根付いたか?(2/2 ページ)

» 2020年01月31日 12時00分 公開
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例外的にPayPayが普及する理由

 一方で例外として挙げられるのがPayPayで、同社は19年11月18日に登録ユーザー数が2000万、加盟店数で170万を突破したことを公表するなど、商圏規模ではライバルから頭一つ抜きん出ている。同社の馬場一副社長によれば、全国の店舗数は370万あり(19年9月時点)、PayPay加盟店が全体の過半数を突破するのは時間の問題という状況だ。

 同社は加盟店に対し、21年9月までの時限措置で「決済手数料無料」をうたっており、「気に入らなければ、いつでも契約を止めていただいて問題ありません」というスタンスだ。これにより、これまで手数料などが理由でキャッシュレスな決済手段を導入してこなかった店舗を急速に取り込んでいる。

 店舗導入のハードルを下げる工夫は決済手数料無料の他にも、設置コストのかからない静的QRコードの採用などがある。店舗は用意されたQRコードを紙などに印刷して掲示し、消費者がスマホアプリで読み取って決済する仕組みだ。この方式なら店舗側が読み取り端末を用意する必要がなく、設置コストもゼロといっていい。

 このように導入のハードルを下げて加盟店を増やすことで、PayPayのビジネスモデルが生きてくる。彼らのビジネスモデルは「PayPayアプリを利用するユーザーと加盟店を増やし、アプリを通じて付加サービスや広告配信などで稼ぐ」というものだ。今後も単純な手数料の引き上げが難しいため、それよりもスケールメリットを生かして稼ぐ考えだ。

 地方での中小小売店の開拓は地元商工会を通じて営業をかけているが、その条件として「商工会に所属する小売の一定数以上をPayPay加盟店とすれば優遇措置を与える」などを提示しており、ローラー作戦でまずは加盟店で埋め尽くすことを最重要課題にしていることが分かる。

キャッシュレス決済としてはPayPayのみが利用可能な草津温泉のそば屋

コード決済普及でキャッシュレス化は進んだのか

 「コード決済はキャッシュレス化に貢献したのか?」という疑問だが、結論としては「一定レベルでは貢献したものの、やはりクレカが主役であることに違いはない」というのが筆者の意見だ。これは東京オリンピック・パラリンピックが終了する2020年時点でもあまり変化はないと思われる。ただ、PayPayなどのようにクレカ中心の経済を大きく変える存在が足元で急速に育ちつつあり、この普及率が一定以上となった20年後半、あるいは21年以降に「スマートフォンアプリを使ったモバイルマーケティングや決済」が本格化してくるのではないかと予想する。

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