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インタビュー
» 2019年09月10日 06時00分 公開

モバイル決済の裏側を聞く:キャンペーンは「とことんやる」、手数料は「悪いようにはしない」 PayPay馬場副社長に聞く決済戦略 (1/4)

コード決済の事業者は、ほぼ出そろいつつある。その中でも、圧倒的な資金量と営業力で、後発ながら存在感を見せつけるのがPayPayだ。同社で加盟店開拓を主に担当する、取締役副社長執行役員COO兼営業統括本部長の馬場一氏に、現状の手応えや今後の目標などをうかがった。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 8月1〜2日の2日間、筆者は和歌山市から白浜町までの和歌山県西側エリアを取材でまわっていた。同日にスタートした「JPQR」こと統一QRコード決済のスタート状況を調べるためだ。他媒体で恐縮だが、現地の状況は「話題の統一QR「JPQR」の実際をローンチ初日の和歌山で見てきた」という記事で詳しく述べているので、興味ある方は参照してほしい。

 JPQRがメインではあるものの、取材内容そのものは「キャッシュレス対応で遅れているといわれる和歌山県の地方都市の決済事情を調べる」を主眼としている。そこで見えてきたのは、想像以上にPayPayが広がりを見せているということだ。キャッシュレス対応の店舗でPayPayが使えない場所の方が少ないくらいで、地方都市での加盟店開拓にいかに同社の営業が力を入れているかを垣間見ることができた。

PayPay 和歌山県白浜町にある人気の海産物市場「とれとれ市場」にはPayPayのキャンペーンを告知するポスターが入り口に掲示されている

 スマートフォンのアプリ上でQRコードやバーコードを使って決済を行う「コード決済」のサービスの競争が激化して1年近くがたつが、主要プレイヤーがほぼ出そろいつつあることで、その流れも終盤戦に差し掛かりつつある。この中でも圧倒的な資金量と営業力で、後発ながら存在感を見せつけるのがPayPayだ。同社で加盟店開拓を主に担当する、取締役副社長執行役員COO兼営業統括本部長の馬場一氏に、現状の手応えや今後の目標をうかがった。

PayPay PayPayの馬場一副社長

全国370万の小売店全てでPayPayを使えるように

―― 7月の「SoftBank World 2019」で、馬場氏はPayPayの登録ユーザーが900万人に到達し、加盟店数も70万店超を報告しているが、今後の展開をどう考えているのか?(※その後、8月7日にユーザー数が1000万、加盟店は100万に到達)

馬場氏 「まだまだ攻める先は山ほどありますし、追撃の手も緩めません。加盟店開拓は積極的にやっていきます。なんかね、全国に370万店舗あるというんです。例えばTポイントに話を聞くと、昔同社が加盟店開拓をするときにベースになったのが370万店舗だといいます。あと、いろいろな小売のデータを見ていると350万店舗から370万店舗というのが、物を売ったりサービスを売ったりしている会社の数で、そこを全部PayPayで取っていくのが僕たちの仕事です。

 それが終わるまで……とはいっても、途中で閉店するところもありますし、また新しく出てくるところもあるわけです。全部が全部取り切れないなか、どこに行ってもPayPayが使えるようにするのが自分の使命だと思っています。そうでないと、現金を持って歩かないといけなくこともあるわけじゃないですか。最終的に1つでも現金の店があると困るのです。だから全てPayPayが使えるようにしないといけません」

PayPay SoftBank World 2019で示された2019年7月時点のPayPayユーザーと加盟店数

―― 70万店舗の基準は? 例えば競合他社は「100万カ所」のように宣伝しつつ、実際には1店舗で決済端末を複数カウントしていたりと、基準が明確ではなかったりするが、PayPayではどうなのか?

馬場氏 「去年(2018年)の6月に加盟店開拓を始めて、ちょうど1年で70万店舗。最初の半年間、12月の100億円キャンペーンまではスローなスタートでした。基準の話ということで、そのあたりを僕たちはきちんとやっていこうかと思っています。現在の70万という数字は申し込み加盟店数ですが、実際には審査中だったり、あるいはシールをきちんと掲示していないケースもあったりで、どこを公式の数字にすべきか検討していました。

 申し込み数というのは使うお客さんにとっては関係なさそうな数字なので、利用可能な場所の数をきちんと発表していく形にしていきたいと思います。つまり今の70万という数字はあくまで最大値なのですが、まず審査が通らないケースが数としては多く、次に解約、そして僕らが知らないうちに閉店していた場合など、整理をかけている段階です。次に数字を出すときは実際に利用可能な場所の数を出したいと思います」

―― 申し込みから実際にキットが届く(あるいは利用が承認される)までに時間がかかる「待ち」の状態があるという話を聞いているが、実際にどうなのか?

馬場氏 「去年の11月や12月は申し込みが多くてキットが届けられないというのがあり、実際に1週間では届かない状況が発生していました。今は全くないと思います。最短では審査がちゃんと入ると3日で発送が行われるのですが、営業では余裕をみて「1週間くらいで」と伝えるようにしています。

 リクルートのAirペイなど、外部経由でやってくる分はどうしても遅くなる傾向がありますが、僕らが営業しているQRコードを貼るタイプは停滞はないと考えています。またAirペイについては、申し込むときにきちんとお客さんの意思でオプトインして『使いたい』という意思を示してもらう必要があります」

PayPay PayPayを申し込むと店舗に発送されてくる導入キット

―― 今後、10月1日の消費税増税施行に伴いキャッシュレス決済のポイント還元事業者になるための登録で、PayPayにも駆け込み申請が殺到する可能性があるが、どう考えているか?

馬場氏 「(申請から発送までの)滞留が発生する可能性がありますが、ざっくりいうと今の2倍の申請がきても大丈夫な体制を敷くよう準備しています。これから契約する人に対しては、『早ければ早いほどいい』ということでお伝えします。僕たちの審査もあるし、経済産業省側のチェックもある。それらを全てやると2〜3週間かかる可能性があるわけです。そのため、営業からはあらかじめ『こういう種類の書類をそろえておいてくださいね』と伝えるようにしています。例えば古物商の証明書など、たいていは店頭にあるものなのですが、事前に準備しておくとスムーズにいきます」

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