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キャンペーンは「とことんやる」、手数料は「悪いようにはしない」 PayPay馬場副社長に聞く決済戦略モバイル決済の裏側を聞く(2/4 ページ)

» 2019年09月10日 06時00分 公開

ワクワクペイペイの狙いと次

 PayPayが衝撃的だったのは、いろいろな騒動も含めて話題を日本全国に振りまいた最初の「100億円あげちゃうキャンペーン」と、第2弾にあたる100億円キャンペーンで、テレビCMでの宣伝を含めて「割と派手にぶちあげている」という印象の強いプロモーションの数々だ。後に競合他社が還元キャンペーンを追随する形で展開せざるを得ず、「誰が先に倒れるのか」という状況を生み出した原因にもなっている。

 ただ、PayPayも当初の派手な還元額を掲示したプロモーションよりも、実際に「特定業界での日常使い」をどのように喚起していくのかという方向にシフトしつつあり、それが顕在化したのが「ワクワクペイペイ」だ。例えば、8月いっぱいまでは「対象店舗でランチタイムの12〜14時に買い物をすると必ず10%還元」という形で、ランチタイムにコンビニやスーパー、レストランに顧客を誘導することを狙いとした施策が進められている。

PayPay 5月からスタートしたワクワクペイペイは新業態を開拓していく

 ワクワクペイペイの詳細については石野純也氏のSoftBank Worldのレポートが詳しいが、毎月業態や還元対象となるタイミングを変えることでプロモーション効果がどの程度あるかを証明するバロメーターにもなっている。その数字を元に「今回のキャンペーンではランチタイムだけ決済回数が大幅に上昇する効果が認められ、初めての客の来店誘導効果も大きく期待できたので、次はこれこれこういうキャンペーンをやりますから、ぜひPayPayを導入して一緒に盛り上げませんか?」という営業を仕掛けるわけだ。

 実際、9月にスーパーマーケットでのワクワクペイペイ実施の告知をして以降、「ライフ」「西友」「サニー」「とりせん」「イトーヨーカドー/ヨークマート」「ゆめタウン」「ベイシア」「サミット」といったスーパーがワクワクペイペイ参加とPayPay導入を表明するなど、狙い通りの効果が得られていると考えていいだろう。

PayPay 9月の対象は食品スーパーマーケット。実際、このタイミングでPayPay導入を決めた店舗は多い

 では、今後ワクワクペイペイを使って、どのような業態で加盟店開拓を進めていくつもりなのだろうか。馬場氏は「決済回数がいっぱい稼げる業種を攻めたい」という。

馬場氏 「コンビニを攻めて、ドラッグストアを攻めました。『競合他社に遅れないようにPayPay導入してください』ということで、めちゃくちゃ効果がありました。現在、全国の薬局の6割以上でPayPayが使えます。広域の全国チェーンではほぼ100%です。ドラッグストアでキャンペーンを展開したときは、今までコンビニで買っていたビールをドラッグストアで買うようになるなど、行動の変化が起きました。

 また、ランチタイムをキャンペーンの対象としたときは、単純に決済回数のカーブが夕方から昼にシフトするだけだと考えていたものが、夕方に入っても落ちず、ちょうどキャンペーンの分だけ上乗せされる効果が確認できました。そうしたデータを元に営業をかけるわけです」

馬場氏 「9月のキャンペーンは食品スーパーが対象になりますが、こうしたスーパーは全国に500社あるといわれています。イオンやイトーヨーカドー、鉄道系のスーパーに加え、ローカルのスーパーなどがあります。スーパーの加盟店開拓はこうしたローカルなチェーンを開拓する必要があり、PayPayでは全国20カ所の営業拠点を使ってアプローチしています。

 もともと粗利の低い商売で(クレジットカードのような手数料を取られる仕組みを導入するのに抵抗があり)、当初は知名度の問題もあり、なかなか大変でした。加盟店営業に行っても出てくる担当者は経理や総務の人で、本来共同キャンペーンを行いたい販促やマーケティング担当の方に接触できないこともあるのですが、ワクワクペイペイを通じてこうした人々とうまくやっていければと思っています」

キャンペーンは「競争が続く限りやる」

 では、こうしたキャンペーンはいつまで続くのだろうか。100億円のような派手な数字こそ出さないものの、PayPayユーザーや参加加盟店が増え、決済回数が増えてくると、それだけ金額もかさむようになる。ワクワクペイペイ自体いつまで続き、どのような形で展開していくのだろうか。

馬場氏 「(ワクワクペイペイは)とことんやります(笑)。次についてはいろいろ意見が出ていますが、カフェだけにするとか、ファストフードでやるとか。Yahoo!のオンライン決済が始まったので、Yahoo!以外のオンライン決済もやっていかないといけないとも考えています。例えば『今月はオンラインだけ10%値引きします』とか。オンラインもいろいろあって、地方のお土産屋やオンラインショップ、定番のオンライン通販もあります。デジタルコンテンツはオンラインが多いですから、こういうものを混ぜて日常使いを増やしていくのです」

PayPay 「『こいつらアホやな』と思われるかもしれませんが、とことんやります」と馬場氏は意気込む

 ワクワクペイペイというと日常使いのイメージがあるが、オンラインは(筆者の視点でいえば)どちらかといえばたまにしか使わない仕組みだ。こうしたものとワクワクペイペイを組み合わせるメリットがあるのかと聞くと、馬場氏は「複数のカテゴリーがある方が効果がある」と述べる。

馬場氏 「コンビニ1つをとっても毎日使うわけではなく、たまにスーパーやドラッグストアに入るなど、複数カテゴリーをカバーしている方が決済回数が増える傾向があります。これはリアル店舗とオンラインも同様で、両者があった方が継続的に使ってくれるようになります。オンラインについてはまだ営業を始めたばかりで、これからなのですが」

 では実際、ワクワクペイペイでどれだけ予算を投入しているのかという質問について、馬場氏は「決算報告を見てください」とだけコメントする。

馬場氏 「『こいつらアホやな』と思われるかもしれませんが、今後もキャンペーンをとことんまで続けていきます。いつまでかという点は『(終わるのが)早い方がええんやけど』ですが、競争が続く限りやっていきたいと思います。ただ、実際には2〜3社程度には収束するんじゃないかと考えています。

 実際、これだけやってもまだまだ使わない人がいるわけじゃないですか。20%というだけではダメで、普通の価格なんだけど、複数回違う場所で使ってくれると何か特典があるような仕掛けを用意するとか、いろいろ毛色を変える必要があると思っています。今のままだと10%還元とかを狙う人しかやってこない。ですので、今回はスーパーと提携してみたいと考えていたんです。例えば、プライベートブランドの牛乳を週2回買うともう1本もらえるとか、こうしたキャンペーンを折半で行えば、スーパーにとって来店誘導効果があるし、僕らも決済回数が増えて得になると」

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