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OK Google、覚えておいてGoogleさん

» 2020年02月02日 07時57分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 2月2日のスーパーボウルに向けて、今年も各社が30秒CMをYouTubeで公開し始めています。2010年からCM枠を確保しているGoogleさんも、もちろん公開しました。

 superbowl スーパーボウルのCMが一堂に会す「ADBLITZ」

 GoogleのCM、今年は2本。1つは豪華ゲスト(ジョー・モンタナや今年のハーフタイムショーをシャキーラと共に務めるジェニファー・ロペス、セサミストリートのカウント伯爵など)が登場する、スーパーボウル中によく検索されることを紹介するもの。

動画が取得できませんでした

 テンポよくシーンが切り替わって、スーパーボウルへの期待が高まる作品になってます。

 もう1本はGoogleアシスタントの紹介になっているのですが、これが、うっかり泣いちゃう人続出のストーリー。

 出だしは10年前のパリのアメリカ人CMと同じ、Google検索枠のアップ。ここに、「忘れない方法」と入力するところから始まります。次は年老いた男性の声で「Hey Google、私とロレッタの写真を見せて」。そして、すごく古そうなものから、老夫婦になったものまで、数枚の写真が表示されます。おじいさんは、「Google Nest Hub」などのスマートディスプレイで見ているのでしょう。どうやらロレッタというのはおじいさんの奥さんの名前のようです。

 loretta 1 「私とロレッタの写真を見せて」でたくさんの写真が表示される

 上の写真に重なるおじいさんの声は「ロレッタは私の口ひげが嫌いだったと覚えておいて」と懐かしそうに笑っています。

 「記念日の写真を見せて」と言って表示された動画の中の、楽しそうに笑うロレッタを見ながら「彼女が笑うときはいつも鼻を鳴らしていたのを覚えておいて」と言ったり。

 最後に、Googleアシスタントがロレッタについて覚えたことのリストが覚えた日時付きでスクロールしていくんですが、それが全部日常のさりげないことばかり(「ロレッタの好きな花はチューリップ」「とても字がきれい」「嬉しいときによくtickled pinkと言っていた」など)なのが、夫婦がいかに日常を愛していたかが分かるもので既に涙腺が。

 loretta 2

 「ロレッタはいつも、私がいなくなっても悲しみすぎないで、家の外に出て散歩するのよ、と言っていた」というのをGoogleに覚えさせたのは2017年5月14日。たぶん、ロレッタさんは病気療養の末、このころに亡くなったのでしょう。

 これにかぶせるように、おじいさんが「私が世界で一番ラッキーな男だったと覚えておいて」とGoogleアシスタントに言う声と、その後ドアを開けて犬と散歩にいく音(ロレッタさんの言いつけを守ってるんですね)で動画は終わります。

 ああもう、書きながらまた泣く。これは実際にあるGoogler(Googleの従業員)の85歳の祖父が出演しているリアルな話なのだそうです。

 このCMでは、Googleアシスタントにいろいろ覚えさせて後でリストアップできることや、Googleフォトの写真を検索して表示できること、好きな映画を覚えさせておけば(そしてYouTubeかGoogle Playストアでその映画を購入していれば)「好きな映画を上映して」と言うと再生が始まることなどが紹介されています。

 Googleアシスタントにいろいろ覚えさせることは、日本語でもできます。「○○○と覚えておいて」などと言うと、「分かりました。覚えておきますね」と答えて覚えておいてくれます。

 覚えたことを表示するには、「どんなことを覚えてと言った?」と尋ねます。ここで、「覚えていることを教えて」と頼むと「覚えていること」を覚えてしまうというドジっ子ですが。あと、日本人の名前は苦手らしく、夫の名前を聞き取ってもらえませんでした。

 remember

 ロレッタの動画に出てくるセピアカラーの写真は、まだ携帯電話もない時代のもののはずですが、たぶんお孫さんのGooglerが「フォトスキャン」で取り込んであげたんでしょう。CMでは紹介していませんが、Googleはそんなことができるアプリも提供しているのでした。

 scan 古い写真は「フォトスキャン」でGoogleフォトに追加できます

 Googleがここまで人生に深くかかわっていると、GoogleフォトやGoogleドライブを急に終了したりしないでね、と願わずにはいられません。

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