このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
独ザールラント大学 、メキシコINM、仏Potioc、仏Inriaによる研究チームが開発し2019年10月に発表した「Soft Inkjet Circuits」は、市販されている1台の家庭用インクジェットプリンタで電子回路を印刷する手法だ。
インクジェットプリンタの空インクカートリッジには、特殊なインク「導電性銀ナノ粒子インク」と「導電性ポリマーインク」「絶縁インク」 をそれぞれに注入。これらを通常通りプリンタ内部にセットし印刷することで、2Dグラフィックツールで設計した電子回路を作成できる。
カスタマイズしたインクジェットプリンタは、ゴムのように柔らかい可塑性ポリウレタン(TPU)、極薄のタトゥーペーパー、温度変化で液体個体と変化する熱可塑性樹脂など、さまざまな素材に電子回路を印刷できる。実験では、最大50%の伸縮、最小1マイクロメートルの薄型、最小100マイクロメートルの解像度の電子回路が作成できることを実証した。
印刷した電子回路に、適した加工と必要な電子部品、電源を組み合わせれば、インタラクティブなウェアラブルデバイスの出来上がりだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR