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指先のバルーンで、柔らかさや温度を再現 電通大「Hapballoon」開発Innovative Tech

» 2020年02月06日 07時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 電気通信大学の研究チームが2019年11月に発表した「Hapballoon」は、指先に取り付けたバルーンで、バーチャルオブジェクトとの触覚(力覚、温度、振動)を再現する装置だ。

photo Hapballoonがバルーンを膨張させ力覚を提示する様子

 親指と人差し指の腹にあるバルーンが膨張。バーチャルオブジェクトを指や手のひらでつかんだり握ったり(ピンチとグリップ)した時の感触を再現する。約6グラムと軽量で小さく、脱着も容易だ。

photo Hapballoonを用い、VRオブジェクトをつかんだり握ったりした時の様子

 各指に取り付けたバルーンは、空気圧アクチュエータで最大30ミリメートルの高さで膨張。搭載のフォトリフレクターでバルーンの高さを内部から検出しサイズを制御する。バルーンと指先の間には、冷却・加熱面が入れ替わるペルチェ素子を配置し、温度を変化させる。リニア共振アクチュエータ(LRA)も搭載し、振動を伝える。

photo Hapballoonシステムの概要図

 指の動きは「Leap Motion」で追跡。USB経由でコンピュータと接続したシステムは、バーチャルオブジェクトと連動して触覚を再現する。

 例えば、パチンコ玉が入っているコップをつかんだ場合は振動と力覚。熱いモノに触れた場合は力覚と熱い温度、冷蔵庫内のモノをつかんだ場合は力覚と冷たい温度を再現する。ARボタンを押した時の力覚なども表現でき、さまざまな組み合わせの活用が可能だ。

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