キオクシア(旧社名は東芝メモリ)は2月7日、手塚治虫さんの作品を学習したAIを使って制作した漫画「ぱいどん」を、2月27日発売の「モーニング」(講談社)に掲載すると発表した。AIが手塚作品のストーリーとキャラクターの特徴を学習。AIの分析結果を基に、人間がシナリオ制作や作画を行ったという。
ぱいどんは、2030年の東京が舞台。進んだ管理社会に背を向け、記憶をなくしたホームレスのぱいどんが、小鳥ロボットのアポロと共に事件に立ち向かう──というストーリーだ。
ストーリーの制作過程では、手塚作品(長編65作品と短編131話)の世界観や時代背景、キャラなどを人間が分析しデータ化した。それらを学習したAIが、時代背景や場所、エンディングなど、世界観やあらすじの構成要素をまとめたプロットを生成。結果を基に人間が発想を広げ、シナリオを整えた。
キャラのデザインでは、手塚作品に登場する主要キャラ300人から男性、医師といった属性をAIが分析。顔のデザインは「ブラックジャック」「三つ目がとおる」の登場人物が描かれたページ約6000枚をAIが学習し、新しいキャラを生成した。出来上がった顔画像から、人間がシナリオに沿って服装などをデザインした。
プロジェクトは「もしも、今、手塚治虫さんが生きていたら、どんな未来を漫画に描くだろう?」という疑問からスタートしたという。完成した作品は短編で、「続編については未定」(キオクシアの広報担当者)としている。
制作にはキオクシアの他、手塚治虫さんの長男で手塚プロダクション取締役の手塚眞氏、はこだて未来大学の松原仁副理事長、同大システム情報科学部の迎山和司教授、慶應義塾大学理工学部の栗原聡教授が協力した。
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