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「auじぶん銀行」誕生 KDDIの金融事業の旗振り役 総額1億円還元で攻勢へ

» 2020年02月10日 19時03分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 KDDIグループのじぶん銀行は2月9日、行名をauじぶん銀行に変更した。同行は2008年に、KDDIと三菱東京UFJ銀行(当時)が折半出資で創業したが、KDDIが19年4月に出資比率を引き上げて連結子会社した。行名にauブランドを冠することで“KDDI色”を強め、同社が推進する「スマートマネー構想」をより強く打ち出す考えだ。

photo auじぶん銀行の臼井朋貴社長(=中央)

 スマートマネー構想は、スマートフォン向けの金融・決済サービスを拡充する施策を指す。KDDIは、19年4月に金融持ち株会社のauフィナンシャルホールディングスを設立。auじぶん銀行の他、保険会社のau損保、証券会社のauカブコム証券などを傘下に収め、金融商品を拡充している。

 20年2月現在は、スマホ決済アプリ「au PAY」に、投資や公共料金の支払いなどの機能を拡充して“スーパーアプリ”にする計画が進行中。5月に控える「au WALLET ポイント」「Pontaポイント」の統合も、スマートマネー構想の一環だ。

photo スマートマネー構想の概要図

 auじぶん銀行は今後、同構想に基づき、au PAYアプリの新機能開発に積極的に取り組む。具体的には、FXなどの投資を疑似体験できるサービスや、漫画やクイズ形式で投資のノウハウを解説するコンテンツを6月から提供する予定。ユーザーに投資を学んでもらい、金融商品を手掛けるグループ各社に送客する狙いだ。

 auじぶん銀行の臼井朋貴社長は「当行のキャッチフレーズは『銀行を連れて、生きていこう。』。スマホを持ち歩くユーザーに、自分のいる場所が銀行になるような体験を提供したい」と意気込んだ。

photo 投資を疑似体験できるサービスを提供予定

大規模な還元キャンペーンを連発

 同行は2月10日から、行名変更の周知、au PAYアプリの利用促進、金融商品の認知度向上などを目的に、複数の還元キャンペーンを同時並行で展開する。還元額の合計は1億円以上に相当するという。

 具体的には、じぶん銀行の口座からau PAY残高にオートチャージした上で、au PAYで買い物をしたユーザーにau WALLET ポイントを贈る。2月10日〜3月29日の約7週間、抽選で毎週50人(計350人)に、10万円相当を付与する。

 特定の条件を満たした顧客に、最大で計9万円相当のau WALLET ポイントか現金を付与する施策も行う。(1)auカブコム証券への新規口座開設と3万円の入金、(2)「じぶん銀行FX」での10万通貨以上の新規取引、(3)外貨定期預金への10万円以上の預け入れ、(4)円定期預金への10万円以上の預け入れ――など8種類の条件のうち、2つ以上を達成した顧客が対象。実施期間は3月31日まで。

 auじぶん銀行経由でauカブコム証券の口座を新規開設し、口座振替によってauカブコム証券の口座に3万円以上を入金した顧客には、5000円相当のau WALLETポイントを提供する。実施期間は3月31日まで。

photo 総額1億円超のキャンペーンも展開する

 KDDIはこれらとは別に、au PAYアプリで決済した顧客に、決済額の20%相当のau WALLETポイントを提供する「誰でも!毎週10億円!もらえるキャンペーン」を2月10〜29日に開催する。

 スマホ決済とポイントサービスの分野では、ソフトバンク系の「PayPay」が先行し、NTTドコモとメルカリが業務提携を結んだ中、大規模な還元キャンペーンによって攻勢をかける狙い。au WALLETポイントを爆発的に流通させた上でPontaポイントと統合し、ユーザーの活性化と顧客基盤の強化を目指す。

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